プロローグ
爛々と光る目は、すでに標的を見据えていた。
口元が思わず綻ぶ。何とか間に合った、と安堵のため息をした。
そこにあったのは、妙にアンティークな扉。
「…あれ、こんな所に扉なんかあったっけ?」
声を出すが、一人なので誰も答えてはくれない。
さて、どうしたものか。
ここは、とりあえず回れ右をするのが妥当かつ正しい。
だが、それでは意味がないのだ…
「ううむ…とりあえず、開けてみっか!」
何も知らない彼女は、不用意にその扉を開けた。
真っ白な雪が降り積もる、冬の午後三時だった。
ギイィ…
鈍い音がその部屋に響く。
「………?!」
彼女の目の前には、巻き毛のライオンのような人(?)が、まるで待っていたかの様に、居た。