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ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

アイツに会った。

「ただいま…」
 ここはトバリシティ。ここの、とある育て屋に、一人の少年が。
「…兄貴?」
 合い鍵で中に入った少年、シンジ。だが我が家には、いるはずの兄貴がいない。
 あの人のことだから、きっと待っててくれると思っていたのだが…感傷的な気分に浸るシンジ。
 も、つかの間。
「シンジお帰りー!!!!」
 突如物陰から飛び出してきた兄貴。何このサプライズ。さすがのシンジもぎょっとしている。
「…兄貴、いくら何でも幼稚すぎやしないか?」
「いいじゃないか。久しぶりだな、シンジ」
 全く…とシンジは溜息をつく。
「ちなみに、祭りは今夜だよ」
「あぁ、わかった」
「てなわけで、ちょっと買い物してきてくれないかな。今日の夕飯の材料、メモしておいたから」
「あぁ。…いやちょっと待て」
「はい、行ってらっしゃい」
 言い返す間もなく、さっさと外に出されてしまった。
「…ちっ」
 サプライズで気が抜けているところを、見事に衝かれた。
 サボろうかとまで思いつつ、何気なくメモに目をやる。すると、こんな単語が書かれていた。
『餃子』
「……仕方ない、行くか」

 その後、シンジの姿はトバリデパートにあった。
「餃子…餃子、どこだ」
 他の材料をカゴに詰め込み、本命の餃子を探しているのだが、なぜか見つからない。
(まさか、売り切れ?)
「餃子なら向こうの棚にありましたよ」
「え、あ、ありがとうございま…」
 「す」まで言い終わる前に、シンジはその声の主、青い髪の少女の顔を見て目をむく。相手も、シンジと目があった瞬間、「しまった」と言わんばかりの顔を見せた。
「………」
「…シン…ジ?」

「…さて、そろそろ帰るとするか」
「待ちなさい!!!!」
  青い髪の少女、ヒカリが、逃げ去ろうとするシンジの襟を思いっきり引っ張って引き留めた。
「痛い、首痛い。放せ」
「もうっ!何でそうやっていちいち逃げようとするのよ!!別にそんな気まずい事なんてな…」
 言いかけて止まった。
 “気まずいこと”前々まで、お互いそれでどれだけ悩んだことか。
「あ…ごめんなさい。止めた私がバカでした。どこへでも行って下さい」
「の前にひとつ聞かせてくれ。なぜお前がここにいる
 今回初めて顔を見たときから思っていた。まさかとは思うが…
「えっとね、今度ここで『月花祭』が開催されるって言うから、ちょっと寄ってみたの」
(予想的中…)
 どうやら、あれ以来のわだかまりは振り切れないようだ。
 いないと信じてきた思いも水の泡だったようだ。
「…とりあえず、ここ出ようか」

 場所は変わってリッシ湖。
 デパートからずっと続いてきた沈黙を断ち切ったのは、ヒカリだった。
「…シンジも、月花祭のために帰ってきたの?」
「あぁ」
「シンジがお祭りに興味を持つなんて、ちょっと微妙だから、きっと、レイジさんに誘われたんでしょう?」
「あぁ」
 さっきから、曖昧な返事しかしない。やはり、居心地が悪いのだろう。ヒカリも同じだ。
「………」
「…………」
 言葉が尽きた。選択肢自体はあるはずなのに。
「おーい、シンジ!」
 めったに寄り道しないシンジの帰りが遅いので、レイジが迎えに来たようだ。
「あ、レイジさん!」
「あれ、何でヒカリちゃんがいるの?」
「ここで月花祭が開催されると聞いたんで、興味があったので来てみたんです!」
「そうなんだ。シンジと一緒だね」
 当の本人は心外という顔で、
「おい、俺は兄貴に呼ばれて来たんだ。そんな祭りに興味はないっ」
「じゃあ無理に来なくてもよかったんだよ?」
「…ならせめてもう少し早めに言ってほしかったな…」
 畜生とまた湖に目をやる。
「…そうだ!まだ祭りまで時間がいっぱいあるし、二人のポケモンバトルが見てみたいなぁ」
「わぁ!いいで…え?」
「なるほど。それもい…は?」
 目をむく二人。でしょうねレイジさん。
「いやさ。やっぱりバトルはポケモンポケモン、トレーナーとトレーナーの交流の原点だし…」
「この期に及んで何でアイツとそんなことしなくちゃならんのだ。俺は断…」
「ダーメ。みんなまだ小さいんだから、年長者の意見はちゃんと聞きましょうねーっ」
「いつまでもガキ扱いするな!」
(『いつまでも』…) 
 今の発言だと、まるでシンジがいつもレイジに子供扱いされているようである。

 まあいろいろ言ってましたが、結局バトルは実行することになりましたとさ。というわけで場所はシンジ(レイジ)の家の庭。
 審判兼観客兼解説者(多っ!)のレイジが言った。
「使用ポケモンは一体。どちらかのポケモンが戦闘不能になった時点でバトル終了。いいね?」
「どうぞ」
 もう面倒になってきているシンジ。この調子で、バトルも手を抜いてしまうのか…
「ポッチャマ!お願い!!」
「…エレキブル、バトルスタンバイ!」
 二匹共に威勢のいい雄叫びを上げる。
「相性は圧倒的にエレキブルの方がいい。なんだ、意外とやる気あるじゃないか」
 期待できそうだ、とニヤリ笑った。
「先、お前やれ」
「了解!ポッチャマ、バブル光線!」
 長旅でパワーアップしてきたバブル光線が、エレキブルめがけて一直線にやってくる!
「弾き返せ!」
 まるで蚊でも払うかのごとく、何ともない顔でさっとはじく。そしてそれはポッチャマ自身に。
「ポッチャマ!!」
「雷パンチ!」
 容赦ない一撃。ポッチャマに効果は抜群だ!!
「…かなり本気だな」
 レイジは、弟の漆黒の目を見た。
「俺の思い違いか…何をそんなにムキになっているんだ…?」
 すでにボロボロのポッチャマに、ヒカリは精一杯エールを送る。
「ポ…ポチャマッ!」
 まだ踏ん張れるようだ。
「よぅし…ポッチャマ、ドリルくちばし!!」
エレキブル、守る!!」
 渾身のドリルくちばし、これもまた水の泡か…と思いきや!
 さすがにやられっぱなしは嫌なポッチャマ。根性でエレキブルの守りを打ち破った。
「何ッ?!」
「おぉ、ヒカリちゃんも巻き返しを狙ったか。これは面白くなりそうだ…」
 白熱してきたバトルに、すっかり興奮気味の観客(ポケモン)達。
「構わん、ギガインパクトだ!!」
「そっちがその気ならこっちは…ハイドロポンプよ!!」
 大技同士のぶつかり合い。これで決着がつくのか…?!

 大きな爆発音と衝撃波の中、目を開けたヒカリ。
「…ポッチャマ?」
 呼んでも返事はない。
 ようやく煙も腫れてきたとき、ポッチャマは…
「…ポッチャマ戦闘不能、エレキブルの勝ち!よって勝者、シンジ!」 
 疲れたエレキブルを、シンジは声をかけながらボールに戻した。
「ポッチャマ、よく頑張ったね。ゆっくり休んでちょうだい」
 ヒカリもポケモンをボールに戻し、シンジに声をかけた。
「あのさ…負けちゃったけど、でも、楽しかったよ」
 気持ち良く終わらせようと、そう言った。が、
「…そうか?」
 もしこれが漫画なら、ヒカリにはこんな擬音語が書かれそうだ。
『カチンッ』
「『そうか?」ってどういう意味よ!何?あんたは楽しくなかったって訳?!あーそうですか!ごめんなさいね、弱くって!!」
「ちょ、ヒカリちゃん落ち着いて…」
 今にも獣のように襲いかかりそうなヒカリを、レイジがギリギリで止める。
「…あれ、ヒカリちゃん、髪留め…」
「へ?…っあぁぁぁ!!」
 何と、ヒカリの髪留めの片方が、割れている。おそらく、さっきの衝撃が原因だろう。
「あ、あぁ…」
 負けたショック+シンジの発言への怒り+髪留めが壊れたショックで、ヒカリはその場に座り込む。
「…じゃあ、シンジ、買ってあげれば?」
「は??」
 何を言い出すかと思えば、と不機嫌さをあらわにするシンジ。
「ほら、あそこでシンジがギガインパクトを指示していなかったらこうなってなかったんだと思えば、ね?」
「その流れで行くと、兄貴がバトルを提案しなければよかったんじゃないのか?」
「いいから。これは運命なのだよ、シンジ君」
 そんな運命いらないと愚痴をこぼすが、今更どうにかなりそうな感じではない。
「…安いのでイイよな?」
「うん」
「お祭りの屋台でも何かいいのがあるんじゃないかな?限定品とか」
 ヒカリは壊れていない方の髪留めを外し、グラデーションがかかってきた空に視線を送った。


~あとがき~
さて問題。この小説は何文字でしょう。
正解は…3607字でした。
長文だろッ!400字詰めの原稿用紙何枚分だよ!((何にキレてるの
まあでも20枚分書いたこともあるから普通か。っていうか長編小説はこの程度じゃ収まらんぞ。
…えぇ、次回お楽しみにぃ!
なんだか繋げ回ばっかりで面白くないぞ((じゃあ面白くしなさい