ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

アイツの目。

 アイツの目が、嫌いだ。
 あの目の奥には、小さな深海。見ているだけで、引きずり込まれ、溺れてしまいそうだから、俺は、アイツの目は見ない。

『でさ、ちょっと帰ってきてほしいんだ』
 兄であるレイジの、突然のお願いに、弟のシンジは冷たい目を返した。
 何でも、彼の故郷であるトバリシティで、「月花祭」という、花見と月見をミックスさせた、新種の祭りが開催されるとかナントカ。
「…そんな祭りの為にわざわざ里帰りしろと?」
『頼むよ!たまにはシンジとお祭り楽しみたいんだ。な?』
 最近、妙に兄貴がシンジに甘えてくる(?)ような気がする。当の本人も、顔に出すほど嫌なわけでもないのだが。
 しばらく悩みに悩んだ末、彼はオーケーを出した。その時のレイジの笑顔と言ったら…

 トバリシティに向かう途中、シンジの脳内は、整理整頓の出来ない子供の部屋のような状態であった。
 その考えのうち、こちらが解明できるのは二つ。
 「花見と月見を混ぜるのってどうなんだ」と言うのと「前起きた惨事」だ。
 前者に関しては、太陽の光を借りて光っているだけの月と自らの力で咲く花の組み合わせは、個人的には頂けない。
 「前起きた惨事」とは、とあるカフェで再会した、ライバルの友人といえる人物相手に、何か本人ですら解読不可能な一言を放ってしまったものだ。
 あれから、あの女の事が頭の片隅で、常に居座っているのだ。
(いや、あのことはもう忘れよう。次アイツと会う頃には、お互いその事は忘れてるだろう。…俺自身は今のところ危ういが)
 しかし、今度の祭りで、あるいは振り切れるかもしれない。いや、振り切ってみせる。というか、振り切れないと困るんです、ホント。


 アイツの目が、嫌い。
 前も後ろも見えない、漆黒の闇の色。一度引き込まれたらもう戻れないから、わたしは、アイツの目は見ない。

『話題の月花祭、今度はトバリシティで!』
 とりとめなく開いた雑誌に、こんな一文が載っていた。
 月花祭、テレビでも最近よく聞く。何でも、花見と月見を混ぜたような祭りで、各地を転々としているのだとか。
 ヒカリの個人的な意見としては、可憐な花と高貴な月の組み合わせは最高だと思う。
(トバリシティかぁ。開催日も少し先だし、ちょっと行ってみよっかな)
 この町の名前を聞くと、無条件で思い出してしまう奴がいるのだが、おそらく奴はそこにはいないだろう。いや、いるはずがない。というか、いないで下さい、お願いします。
 もう、前みたいな気まずい雰囲気に包まれたくはない。
 …いや、こんな気持ちもやめておこう。それより、お祭り。
 楽しんでいこう、とヒカリは笑ってポケモンセンターを後にした。


~あとがき~
うへへーい。ネタが出来て、パソコンを立ち上げたら、あとはもう一発って言うことが証明されましt((お前
え、全体的に短い?仕方ないじゃないか、巡り巡って前回と次回を繋ぐだけの話になっちゃったんだから。
さぁ、いよいよスペが書きたかった話がぁ!!!
待ってろよ、すぐに続編書くからな!
…あ、ごめん前言撤回。
うごでも出すから、その作業があるのですぐには出せないです。ごめんなさい。