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ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

アニポケ劇場 ~雪やこんこん、風邪引きこんこん~

 手が悴む一月の朝。窓の外で、真っ白い雪が降っていた。
「そういえば、クリスマスを1月にやる国もあるらしいよ」
「…何ですか急に」
 シゲルとシューティーが雑談中。おや、一人足らないような…
「あれ、シゲル。シンジはどこだ?いつも一緒だろ?」
 サトシがシゲルに聞いた。すると、驚愕の事実が!
「あれ、知らないの?シンジなら風邪で寝込んでる。熱もそれなりに出てるしね」
あれも病気になるらしいね」
 シューティー、さりげなく「あれ」とは酷いぞ。
「聞いたわよ。あれが風邪なんですってね」
 どこからやって来たのか、ヒカリがざま見ろと言わんばかりの態度で言った。
「みたいだよ。…あ、なんならヒカリがおかゆでも作れば…
 言いかけてフリーズするシゲル。
「シゲルさん、よりによって何言ってるんですか!!!」
「それでシンジが死んだらどうするんだ!!!」
「すまない、ついうっかり!!!」
「ちょっと」
 でもいいかもね、とヒカリ。シンジ逃げて超逃げて!

コンコン
 デントが、シンジの部屋のドアをノックする。
「入るよー」
(俺まだ「入っていい」って言ってないんだが…)
 多少疑問は残る物の、とりあえずノーコメント。
「おかゆは他の人が作ってくれるらしいから、もうちょっと待っててね」
「…あの細目とか?」
「タケシはその人に教えてるだけ」
「…他に料理できる人いたか?」
 お楽しみ、とデントは部屋を後にした。
 その後、何故かシンジは悪寒が止まらなかったとか。

 数分後。
「シンジお待たせー」
 ヒカリがノックもなしで入ってきた。瞬間、シンジの顔色が、ソーナンス並に真っ青に。
「…嫌な予感はしたが、まさかお前だったとは…あと、ノックくらいしろよオイ」
「ゴメーン。でも、味には自信あるから!大丈夫!!」
「俺お前のことあんまり知らないけど、お前の『大丈夫』は絶対大丈夫じゃない!!!!」
 どうやらシンジはヒカリプレミアムアレルギーのようだ。叫んだ後、思い切り咳き込む。
 で、問題のおかゆだが…何故か黄色っぽい。何入ってるのよコレ。
「…毒味はしたのか?」
「変な言い方しないでよ、せっかく作ったのに。まあ、タケシがやったわよ。真っ青な顔して鳥肌立ってたけど」
(殺す気か)
 危険信号。弱った心身には効果抜群の予感がする。シンジは 身震いした▼
「ほら、お腹減ってるんでしょ?たくさん食べなさい」
 どうにも気が進まないが、空腹で倒れるのも情けないので、腹を決めパクッと一口。
「………」
「どう?」
 シンジは黙ってうつむいたまま…。さすがのヒカリも心配になってきた。
「シンジ?シンジさんや~い…」
「…おい」
 ようやく口を開いたシンジ。彼が放った言葉は…
「…これ、塩入れ過ぎじゃないか?」
「え」
 次の瞬間、ヒカリはシンジが持っていた(当然使用済みの)スプーンを取り上げて、おかゆを一口いただく。
「っ~~~~~?!」
 羞恥で顔を真っ赤に変える二人。もちろん根本的理由は違うものだが。
「なにこれしょっぱい!!砂糖入れて味直す?!」
「いやそれ逆効果。っていうか、さじ…」
「いいわ、作り直す!」
「さじだけ洗って返してくれりゃあそれでイイ!!」

「何か、風邪っぴきの部屋にしては騒がしいわね…」
 カスミが呆れ半分で言うと、タケシが彼らの代わりに弁解する。
「まあ、怒ることすらままならないほどの状態じゃ無いって事だ」

「そういえばさぁ、だいぶ前の話になるけど、クリスマスにシンジとヒカリがデートしただろう?あの後どうなったんだろう。シンジ告白したのかな?」
 シゲルが緑茶を一口飲んで言う。
「んー、あれの性格だと、帰ってきて即報告って事はなさそうだけど、後日聞いたら、なんか曖昧な返事でしたよ。自分からは言わずとも、人に聞かれれば話すと思うんだけどなぁ…」
 シューティーも首を傾げる。
 すると、どこからとも無くハルカがやって来た。
「あ、ハルカ!ちょうどいい。シンジがクリスマスにヒカリとデートしたのは知ってるだろ?それで何があったか知ってる?」
「え?うーん、あんまり詳しくは聞いてないけど、何かいい結果じゃなさそうだったかも。ヒカリはともかく、シンジは…」
 その時、シゲルの脳内に一筋の雷がキュピーンと走った。
(もしかして、シンジは前のデートで、ヒカリに告白しそびれたのでは?!)
 シゲルは決めた。シンジが元気になったら、直接聞いてみよう。

「…で、病人の部屋に何の用だ」
「よかった。それだけの暴言が吐けるなら大事はなさそうだ」
 シンジが元気になったらって言ってたのに、何故かすぐに本人を訪ねる二人。ちなみに、ヒカリはさっきまで付きっ切りで看病していたが、今はちょっと席を外している。
「実はね、君に聞きたいことがあるんだ。今君を看病してくれている、キュートでチャーミングな、麗しい天使の様な…」
「長い長い。枕詞が長すぎるからここで切る」
 シゲルは一呼吸置くと本題を話す。
「君、前のデートでなんか失敗でもしたの?元気がないってハルカが言ってた」
「………」
 するとシンジは、とたんに顔を曇らせた。
(確定…)
 シゲルが次の言葉を言いかけたとき、シンジが先を越した。
「…渡しそびれた」
「へ?」
 するとシンジは、ベッドの隣にある棚の引き出しから、小さな箱を取り出した。
「あの日、あいつにこれを渡そうと思ってたんだが…」
 箱の中身は、以前クリスマスイブにプレゼントした、女の子物のブレスレットだった。あれは、ヒカリの為にシンジが頼んだのだ。
「で、それどうするの?ヒカリに渡すくらいなんだから、自分用って訳にはいかないよね」
「風邪が治ったら、礼ついでに渡すつもりだ」
 そう決意したシンジは、シゲルやシューティーが見た中で一番頼もしかった。
 次の瞬間、くしゃみさえしなければ。

 後日。寮には元気なシンジの姿があった。が、よく見ると一人足りない…
「そういえば、ヒカリはどうしたの?寝坊??」
 カスミがサトシに聞いた。すると、驚愕の事実が!
「…ヒカリは、風邪だ」
「ハイ?!」
「なんでも、シンジの風邪が移ったとか何とか」
「あ~あ…まぁ、マスク使わなかったヒカリの自業自得かもね」
 一方ヒカリ。熱っぽい体でも、なぜかその表情は、どこか嬉しげだった。
 手首には、新品と思われる可愛らしいブレスレットがあった。


~あとがき~
「クリスマスを1月にやる国もあるらしいよ」
アニポケ劇場のシンヒカは、ようやく少ーしだけ進展したようです。
…もっと何か、大きなきっかけはないのでしょうかねw
これもこれで楽しいニヤニヤ物だけど。