ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

探検隊地方を飛び交う友情

「暇だ」
 ここは時空の塔。知る人ぞ知るダンジョンだ。
「ったく、給料イイって聞いたから始めたっつーのに、何だよこの暇さ!せめてちょっと忙しいぐらいにしろよ!なーにが歯車の番人だぁ!誰から守ろうってんだよ!ホント、神々は安定の適当だなぁ…」
 ピカチュウ、もといクロノはそう言うと、ごろんと寝転がる。
「…モカチーノ、元気かねぇ…」

「ふえっくちゅん!!」
 所変わって、アミナ地方ハイライトタウン。知る人ぞ知るトレジャータウンの、お隣の町だ。
「オーナー?どうしました?」
「いや、何でもないよ。案外、誰かに噂されてたりして」
 笑いながら、色違いのエモンガは言った。
 ここは、万屋(よろずや)シルフ。オーナーのモカチーノは、支店であるハイライト店を視察に来たのだ。
 アルバイトのラルトス、ソルナは、モカチーノの鼻から垂れている物を見て言った。
「風邪を引いたら、エモンガ印のお薬ですよね?」
「あ、そうそう。まだわからないけどね」
 エモンガ印の薬とは、モカチーノが作った薬のブランドだ。実際、薬目当てでここに来る客も少なくない。
「ところで、僕ちょっと出掛けてくるよ」
「あ、はい!」
 そう言うと、彼は皮膜を広げると颯爽と飛んでいった。

 ハイライトタウンのギルドの前、新米の探検隊が。
「あ、モカチーノさん」
「よく下から見るだけでわかるわね」
「それより、早く行こうよ!未開のダンジョンなんて、初めてじゃない!」

 トレジャータウンの上をモカチーノが通ると、広場で何か騒ぎが起きている様だ。
 よく聞くと、「異常気象」だとか何とか。
 前から知っている内容っぽかったので、再び目的地を目指す。

「あぁ〜、暇すぎますディアルガさん。お願いだから休み下さい。ってか、今もすでに休みみたいだけど、娯楽関係の物は一切持ち込み禁止だしー」
 相変わらずクロノは時間をもてあましている(※これが仕事です)。
 すると、
「クーローノー!」
「ん?…あ、モカちゃーん!!」
 モカチーノに向けて大きく手を振る。

「人間界?!」
「そう。行ってみようかなぁと」
 クロノの言葉に、モカチーノは自分の耳を疑う。
「そんな事しているうちに、また時の歯車が盗まれたらどうするのさ」
「オレは知らん。そもそも、前に盗まれたときは各地のダンジョンに散らばってたんだろ?それに、盗んだ理由は未来、ちょうど現在のためだし。もう無い無い」
「それは一理あるけど…でも、ディアルガ様に怒られちゃうよ?」
「ソレコソシランデス」
「何で棒読み?」
 クロノは立ち上がると、塔を降りていった。
「…まあ、君が本気なら僕も止めないけど」
 モカチーノは、旅立つ親友の背中を見届けると、塔を後にした。


〜あとがき〜
作中に出てきた新米探検隊は、雨晴僕のエアロックです。個人の特定までは難しいでしょうけど。