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ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

第6話 〜東区の町と万屋シルフ〜

 チュンチュン鳥ポケモンの声。
 こんな可愛らしい声で目覚めるとは、何とも幸せな気分だ。
 …ぐっすり眠れていればの話だが。
「…眠いよぉ〜」
「バカだねー…」
 重たいまぶたをこすって、ソコラは寝癖も直さず朝会に。

「………」
「…………」
「……………」
 朝会中、みんなの視線を独占しているのは、ぴょんとはねた銀色の毛。
「………………ソコラ、やっぱり直そうよ」
「あとでね」
 朝会後、親方はチームエアロックを呼ぶ。
「んじゃ、今日は初仕事の前にこの町の案内をするよ。ナイパー!」
「ぅあ…はいぃ!!」
 飛び上がった後まっすぐこちらにつっぱしてきた(ちょっと飛んでいた)ナイパー。
「エアロックに町の案内をしてくれ。根っからのハイライトっ子の君にしかできない仕事だよ」
(ホントかな…)
「ハイ!ありがたき幸せ!!」

 ギルドを出ると、ナイパーはくるりと振り返った。
「みんな、ここはそんなに大きな町じゃないが、はぐれないよう、オレにしっかり着いてくるんだぞ」
「はーい」
 するとソコラ。ナイパーに頭を付ける。
「…?」
「ソコラ、その『つく』じゃない」
「じゃあ頭突き?」
「後に着いていけばいいの」
 苦笑するナイパー。
「じゃあ行くぞー」

 賑やかな通りを、四人は歩く。
「まず、向かって右側にあるのが銀行。ダンジョンにはお金が落ちてたりもするから、あそこに預けておくと良いぞ」
「利息は?」
「つかない」
 その次は…ナイパーが言いかけたときだった。
「あべっし!!」
「ぎゃう!!」
 ちょうど目の前にいたポケモンと思い切りぶつかってしまった。
(なんだろ、何かデジャブ…?)
「オーナー!待ってくださーい!」
 オーナーと呼ばれたエモンガの後を着いてきたと思われる二人のポケモンが、走って来た。
「キャッ!オーナーどうしたんですか!」
「そこの人も大丈夫ですか?!」
 ラルトスコリンクが、ナイパーに言う。すると、
「…だ、大丈夫、だ…」
 と言うや否や、カクッと倒れる。
「あわわわわ」
「う、う〜ん……」
 エモンガがむっくりと起き上がった。
「…あれ、ここは誰?僕はどこ?」
「寝言行ってる場合じゃないですよぉ!オーナーとぶつかった人が気絶しちゃったんです」
「え、それは大変だ!すぐに店に運ばなきゃ!」
 エモンガコリンクと一緒に近くの『万屋シルフ』と書かれた看板のある店にナイパーを運んだ。当然、ラルトスやソコラ達も一緒だ。
(品物にでもする…わけないか)
 ソコラの予想も、予想通り空回り。
 ナイパーは、ラルトスが持ってきてくれた薬ですぐさま回復した。
「これって、薬の効果だけ?」
「本人の回復の早さもあると思います…」

「いや、ホントありがとうございます」
「いえいえ。ぶつかった僕にも責任はありますし」
 色違いと思われる、茶色いエモンガ。どこかで見た記憶があるのだが…
「あ!あの、もしかしてあなた、モカチーノさんですか?」
「んうん?そうだよ。僕が、この『万屋シルフ』のオーナー、モカチーノです」
 やっぱりとアラゴ。周りのみんなも歓声を上げる。
「前にテレビで見た事あるんですよ。若くしてポケモン界一の商店のオーナーとなった!」
「いやいや、こう見えて実は結構歳を重ねて…おっと」
 これ以上は言えないと言う様に口を押さえたモカチーノ。
 そこに、場をしらけさせる彼女の一言!
「モカチーノさんって、誰?」

「……………知らないの?オーナーのこと」
「ごめんなさい。万屋シルフも名前を小耳に挟んだくらいで…」
 ソコラは申し訳なさそうに言うと、コリンクの目が光る。
「万屋シルフはね、日常製品から不思議道具まで、何でも揃う店なんだよ」
「『万屋』だしね」
「しかも、ここに売ってる薬は効き目がとても良いんだ。ほとんどはオーナーが作ったんだよ。エモンガ印の薬」
 『エモンガ印の薬』と聞いて、ソコラはふと思い出した。
 小さい頃、高熱を出して寝込んでいたとき、母親に飲ませて貰ったその薬のおかげで、早く治った記憶がある(ちなみに、ラルは『バカは風邪ひかないはずなのにね』と言っていた)。
「アレか!思い出した!あれは僕の命の恩人!」
「人じゃないでしょ」
「そう。それだよ!」
 ところでとソコラ。
「君たちは誰?」
 ソコラに聞かれて思い出したコリンク
「僕はリック。そっちのラルトスはソルナだよ」
 リックが紹介してくれると、ソルナは軽くお辞儀をした。
「私たち、万屋シルフハウライト店で、住み込みで働かせて貰ってるんです。あなた方は探検隊でしょう?何か必要な道具があったら、ぜひ当店へお越しください」
「行きます行きます!」
 ソルナの営業スマイルに、まんまとかかったソコラであった…

 気を取り直して、案内再開。
「えー、さっき出たあの店が万屋シルフ。ソルナが言っていた様に、探検に必要な道具は大体あそこに揃ってる。それとソコラ」
「はい」
「ソコラはイーブイだから、進化の条件も特別だろ?例えば、『炎の石』でブースターに進化したりとか」
「はい」
「その進化の石や、ブラッキーやエーフィーに進化するためのリボン、リーフィアやグレイシアに進化するための岩なんかも、時々売っているらしい。その気があるなら、毎日こまめに覗いてみなよ」
 何とお得な情報。実際、進化に必要な道具は、なかなか手に入らない貴重品である。その分値段も高そうだが。
 さらに進むと、大きなデリバードの顔の看板が見えた。
「あそこは『配達屋』。いわゆる宅配とか郵便専門の所だ。手紙を出したりとか…」
「どれくらいの地域まで?」
 ラルが質問すると、
「そうだな…アミナ地方は確実として、お隣のユーラリナ地方とかもいけるんじゃないのか?」
「ユーラリナ!!」
 突然叫んだのはソコラ。
「…あ、そういえば、ソコラのいとこがユーラリナ地方に住んでるんだっけ」
「そう!元気にしてるかな〜」
 配達屋の向かい側には、イワパレスがどっしりと佇んでいる。
「あそこは倉庫。トレジャーバッグに入りきらない道具は、あそこに預けるんだ。あそこのパレスさんが、責任を持って管理してくれる」
 北に曲がると、小さな小屋の様な建物を発見。
「ここは喫茶店だ。名前は…『カフェ・カプチ』。オレ、ここにはあんまり寄らないからよく知らないんだ。ゴメン。ラッドなら常連だからわかるんだろうけど…」
「喫茶店ってことはコーヒー?」
(コーヒーを飲むラッド先輩…かっこいいなぁ)
「僕コーヒー好きなんだよね」
 ソコラが声を弾ませる。
「………え????」
「?」
 ラル以外の人は、衝撃の事実に驚きを隠せない様だった。
 近くには分かれ道が。
「右に進めば怪しの森、左に進めばトレジャータウンっていう町だ」
「トレジャータウン…どこかで聞いたことがあるような…」
「それもそのはず。あそこは、かの有名な探検隊『ヤンオウカ』が活動の拠点としている町だからな」
 あれか、とラル。アラゴはともかく、時勢に疎いソコラはちんぷんかんぷんの様だ。

「えー、一応コレで全部だ。ギルドに戻って親方様に報告。そしてチーム『エアロック』の初仕事だ」
「ウェーイ!」
「最近救助の依頼が増えてきてるんだよな。何年ぶりからしいぞ」
「へぇー」
 ナイパーがちょっと深刻な顔をした。
「………」
 何故かラルも暗い顔。
 さて、彼女たちの初仕事は、一体何なのか…!


〜あとがき〜
モカちゃん初登場!!!!てなわけで浮かれてやがるスペです。
万屋シルフ、早く話に出したかったんですよね。
地名などの説明は、また今度。