ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

第5話 〜異常気象とお尋ね者〜

 さてさて、場所は変わり、この地方の北側にある砂漠の奥の奥。
 立つのも辛いどしゃ降りの雨の中、二匹のポケモンが、何やら話していた。
「…やっぱりおかしいですよね」
「分かってる。この砂漠に雨なんて、明らかに変だもの。誰でも分かるわ」

 さらに所変わり、西にある大きな湖の岸で、カラカラに干からびそうな日差しの中、一匹のポケモンが独り言を呟いてる様に見える。
「……はい、そうですね。確かにここのところおかしいです。ここまで暑い日はなかなかありません。……ですよね。私もそう思います。やはり、ただの異常気象ではなさそうです

 そしてここは、ギルドの食堂。
「さ、みんな、今日からこのギルドの仲間になった、ソコラ君とラル君とアラゴ君だよ。三人そろってチーム『エアロック』だ。仲良くしてね」
 そうだ、と親方。
「実はこのうちの二人、ソコラ君とラル君は、お尋ね者を退治したことがあるんだ」
 おぉと歓声があがる。
「いやぁ…ハハハ」
 照れるソコラ。
「しかし、男一人で大丈夫か?」
「いや、僕♀です」
「えっ…?!」
 すでにお決まりと化してきたこのパターン。
「ところで、君たちはこの辺りの事はどれくらい知ってるんだい?」
「…………そういえば、ここってどこら辺だっけ?」
 沈黙。
 ようやくラルが口を開く。
「ここはハイライトタウン東区。あたし達が住んでたのは西区だね」
 すると、誰か一人がラル達に話しかけてきた。
「ところで、ハイライトタウン西区の近くには、『怪しの森』があるが、あそこは行った事あるか?」
「はい。お尋ね者はそこで見つけました」
凄いなと一人が言う。
「あそこは土地勘がものすごく良いか、むしろよほどの方向音痴でないと超えられないと言われてるんだ」
「それなら、怪しの森の奥にある、『まやかしの林』の方が強烈だろう。そっちも複雑だが…」
「なんで森から林に退化してんですか」
 すかさずソコラが突っ込むが、そんな事はどうでも良い。
「ともかく、あそこは正確な地図もないんだ。むやみやたらにはいるのはよした方が良いぞ」
「依頼の場合は、また別だけどね」
 そう言ってやって来たのは親方。
「このギルドのモットーは、『受けた依頼は必ず達成させる。全ては依頼主の笑顔のために』。うちは依頼主第一でやってるからね」
「なるほど…」
 ところで、と親方。
「東区の事はどれくらい知ってるんだい?」
「あ…始めて来たばっかりでよく知らないです…」
「そっか。ついでに案内してあげれば良かったのに」
 と言いつつラッドの方を見る。にっこり笑顔のままゆっくりと振り返って。
「?!」
(あれ、俺なんかしたっけ?!)
「ま、ラッドはモテるから、暇がなかったんだよね。じゃあ、明日初仕事の前にナイパーに案内を頼むよ。いいよね、ナイパー」
「へ、あ、ハイ!!!!」
 突然名前を呼ばれて驚くナイパー。

 食後、三人が案内されたのは、ふんわり藁が敷かれた部屋だ。
「ここが君たちの部屋だよ。就寝はここでね」
 と言われた通り、今三人はここで寝ていた。
 だが、ウキウキそわそわした気分がいつまでも消えないソコラ。仕方なくメリープを数えていた。
 そして、999匹目。ようやく少しうとうとしてきたときだ。
「………」
 何やら話し声が聞こえる。ソコラの気持ちは一気にそっちへ行き、ようやくやってきた眠気を吹っ飛ばした。
 抜き足差し足忍び足で、声のする方へ向かう。行き着いたのは羽のマークが描かれた扉の前。
(このマーク、ギルドの外にもあった…!)
 シンボルマークが描かれているのだから、重要な場所なんだろう。おそらく、親方の部屋…
(食料庫か!!!!)
 とにかく、聞き耳をたてると、やはり親方と、もう一人、知らない声だ。
「…最近、所々で異常気象が発生してるらしいですね」
「うむ、あまりにも猛烈で、絶対意図的なものだとわらわは睨んでおる。おぬしはどうじゃ」
 相手のしゃべり方があまりにおかしく、吹き出しそうになるのをおさえるソコラ。
「そうですね…確かに、天気を操る技や特性を持ったポケモンだっていますしね。でも、普通のポケモンじゃそんな甚大な被害は出ないと思いますが?」
「その通り。…わらわの予想では、指名手配中のお尋ね者、『パズズ』というアブソルじゃなかろうかと…」
「そういえば、アブソルって災いを呼ぶんですっけ」
「そう」
 『パズズ』、聞き慣れない名前だ。時流に疎いソコラは、思わず「何じゃそりゃ」と呟いてしまった。
 こんな静かな夜更けだ。近くの人には筒抜けだろう。
(やばっ!!!)
 親方に見つかる前に退散せねば。
「…誰か居るのかい?」
 親方が扉を開けたとき、そこには誰もいなかった。
 その後、ギリギリ逃げ切れたソコラだったが、さっきの話が気になって、結局一睡も出来なかったとさ…



〜あとがき〜
いつもよりちと短めです。いつも短いけどw
アブソル、アニメでも本作でも悪者扱いばかりですな。
だが、私はそんなアブソルが大好きだッ!!!