ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

第三話 〜押し掛けギルド入門!〜

 怪しの森を抜けた三人は驚愕する。
 何故か、保安官のジバコイルがいるのだ。
「アァ、アナタ方ガソコラサントラルサンデスネ。オ家ノ人ガ、心配シテマスヨ。ソレト…」
 ジバコイルは、アラゴを見て言った。
「アラゴサンモ探シテイマシタ。オ尋ネ者ノオドシシニ誘拐サレタト聞キマス。良クゴ無事デ」
「この二人に助けて貰ったんです」
「ナント!」
 ジバコイルは大層驚いたが、それはソコラ達も同じだ。
「まさかアイツがお尋ね者だったとは…」
「通りで強い訳だよ」
「サ、コイル達。オドシシヲ連レテキナサイ」
 その後ソコラ達はそれぞれ家に帰ったが、誘拐事件と関わりを持っていないにも関わらず、首を突っ込んだ事に関してこっぴどく叱られたのは言うまでもない。

「…ねぇ伯母さん」
「ん?」
 ソコラは、五つの時に両親を亡くし、叔母と二人暮らしをしている。
「あのさ、明日、ラルとギルドに行っても良い?」
「良いけど、何をするんだい?あそこは、サインやアンケートはお断りなんだよ」
 言ったらまた怒られるかも知れないが、言わなくちゃダメだ。
「あのさ…僕、探検隊やりたいんだ」
「………?!」
 叔母はだいぶ驚いた様子。だが、そっと話した。
「…あんたがどうしてもって言うなら、私は止めないよ。あんたの人生、あんたの自由にやって行きな。でも、無茶はしないでね」
「伯母さん…!!」
 なんだか目頭が熱くなったソコラだった。
(よし、明日早速ラルに話さなくっちゃ!)

 翌朝。昨夜の事をラルに話すと、今まで見た事無いくらいの笑顔を見せた。
「ていうかラル。そのバンダナと、た、短剣?!…は、一体…」
「ああ、これは『パワーバンダナ』。ほら、アタシの技って物理系が多いでしょ?あとこの短剣は、兄さんも愛用してたやつなんだ。形見って言うの?」
 ラルの兄は、ソコラの両親が亡くなった一年後に亡くなっている。ソコラは何とか復活できたが、ラルは未だにその傷が癒えない。
 とまあ、そんな湿っぽい話はさておき、早速ギルドへ。
 ギルドの入り口には、ギルドのシンボルと思われる、羽のマークが。
「あれ…?!」
 ギルドの前には、昨日のアラゴがいた。
「…アラゴ、何してんの」
「あ、あの時の!…実は、アタシ探検隊に憧れてて。どうすれば慣れるか分からなかったから、とりあえず近くのダンジョンを制覇しようかなと…」
「したところ、オドシシに誘拐された、と」
「…そう」
 しかし、これは運命だろうか。
「じゃあさ、ちょうど僕らもギルドに入門するんだ。一緒に行こうよ!!」
「え、良いの?!」
「もっちろん!」
「じゃ、そうと決まれば中に入りましょ」
 そう言って数歩進んだときだ。
ポケモン発見!ポケモン発見!」
「?!」
 地面から声がする。下を見ると、格子が。
「足形はリオル!足形はリオル!」
 なんと、足形でポケモンの種類が分かるとは。
「スゴーイ!僕も僕も!!」
 ソコラも格子に足を乗せる。
ポケモン発見!ポケモン発見!…足形はイーブイ!足形はイーブイ!」
「おぉ、凄いスゴーイ!!」
 興奮で飛び跳ねる。
「でも、この下、誰がいるんだろう…」
「誰と聞かれちゃ、黙っちゃいれねぇ!!俺の名は、あ、ノコッチの『コッチ』でぇ!」
 沈黙。
「とにかくギルド入ろう」
 進んだ時、アラゴの足下から再三声が。
ポケモン発見!ポケモン発見!」

「お邪魔しまーす…」
 とりあえず一言。目の前には、看板と梯子。下に伸びている。
「じゃあ、とりま下りてみよっか」
 ソコラが梯子に足をかけた瞬間、
「くせ者発見!!!」
 声がするや否や、下から紫の物体が猛スピードで上がって来るではないか。
「覚悟!切り裂く攻撃!!!!」
「○2△%□×÷\!!!」
 声にならない声を出し、何とか逃げ切ろうとするソコラ。
 だがその尻尾は、攻撃を受けて小さくパッカリだ。赤くにじんでいる。
「アホォオオオ!!!!!!!!!」
 次の瞬間、凍て付いた拳が、それをぶっ飛ばす。
 壁にのめり込んだそいつは、グライガーだった。
 そして、そのグライガーに冷凍パンチをお見舞いしたのがニューラだ。
「…………?!」
「ナイパー、何やってんだ客に!」
「だ、だって、許可もなく入ったからドロボウかなんかかと」
「こんな白昼堂々、しかも正面から入って来るドロボウなんて、見た事も聞いた事もねぇよ!!」
 全く状況整理が出来ていないラル、それとケガしたソコラ、それとなんか目がハートになってるアラゴそっちのけで、二人の話は続く。
「あの〜、アンタ達誰?」
「ん、それはこっちのセリフだ。まあいい。俺はラッド。で、こいつはナイパー。オレらはこのギルドの探検隊だ」
「あ、要は遠くない未来の先輩、と」
 変な言い方に頭から?が出てきそうになったラッド。
「…で、何の様だ?」
「あっそうそう。僕ら、ここに弟子入りしに来たんだ。まずは傷の手当てが必要だけど」
 ラッドは、ソコラの尻尾を見て、
「なっ、まさかナイパー?!」
「失礼しましたぁぁぁぁぁぁ!!!今すぐ救急箱取ってきまーすッ!!!!!!」

 傷の手当てもして貰い、ギルドの親方様の元へ案内して貰う事に。
「しかし、うちのギルドへ入門しようとは、ずいぶんな度胸だな」
「そ、そんなに厳しい所なんですか?!」
「他と比べればな。脱走者の数も、他より圧倒的に多い。その代わり、ここを卒業できればとても優秀な探検家になれる」
 やはり、良い所は厳しい様だ。
「ところでお前らは?」
「あ、僕はソコラ!この子がラルで、こっちがアラゴ」
「へぇ〜…いわゆるハーレム状態か?ソコラ」
 ソコラは、きょとんとした顔。
「あ…ラッドさん。ソコラは♀です」
「…え?!」
 すでに知ってる人も多いと思うが念のため言っておく。ソコラは♀です。僕って言ってるけど♀です。ショタかと思ったら♀です。声が可愛いだけの♂かと思ったら♀です。
「…あぁ…そうか。そいつはすまない」
「ううん、大丈夫」
 その時、アラゴがソコラをつつく。
「どうしたのアラゴ」
「あのさ…ラッドさんってどう思う?」
「別に?普通にカッコイイと思うだけだけど…あ」
 ソコラがアラゴの本心に気付いた時、
「おい、もう着いたぞ」
 いつの間にか親方様の部屋の前に。

「失礼します。親方様、こいつらがこのギルドに入門したいって…」
「………!」
 そのとき、振り向いた瞬間抜けられた鋭い目に、三人とも少し怖じ気付く。
「…このギルドに?そりゃまたずいぶんと珍しいね。僕は『ロゴス』だ」
「は、初めましてッ!!ソコラでっす」
「ラルです」
「アラゴ…です」
 ふーんと親方様。その姿は、本来なら優しげな印象のあるトゲキッス。もちろん彼自身も、その印象を持ってはいる。その目を除いては。
「……わざわざ押しかけて弟子入りするくらい何だから、チーム名とかくらいは考えてあるよね…?」
(しまった。忘れていた!!)
(どうしよう…あっさり『忘れました』だなんて言ったら返されちゃうんじゃ…)
「はい、全然考えてません。忘れました」
「ソコラァァァァァ!?」
「………」
 親方様は黙っていた。が、次の瞬間笑い出す。
「ハハッ、ずいぶん素直だね。気に入った、君達をギルドの仲間として認めよう」
 おぉっと声をだす三人。
「それじゃ、しばらく時間をあげるから、チーム名考えてね」
 というわけで、早速考え出す三人。
「…ラッドさん達のチームは、どんな名前にしたんですか?」
「『シュバルツ』。ドイツ語で"黒"という意味だ」
 そう言えば、ラッドもナイパーも、黒いバンダナをしている。
「う〜ん、あ!!」
 ソコラが何かひらめいた様。
「何?!何を思いついたの?」
「チーム名、決まったよ!その名も、『エアロック』!!!」
 一瞬、時が止まる。
「…かっこいいけど、由来は?」
「かの有名なレックウザの特性に準えて、雨にも負けず、風にも負けず、雪にも、夏の暑さにも負けない精神を元にしました」
「あぁ、確かに特性エアロックは、天気の影響を無効にするけど…」
「君の場合、『エアロック』というより『ノー天気』だよね」
「?」
 親方の言葉に関して、ソコラ以外の人は納得していた。
「まあそれはともかく、チーム登録は完了したよ。今晩ギルドのみんなに紹介するからね」
「ハーイ!!」
 三人とも、その場で踊り廻りたいくらいに、とてもわくわくしていた。
 だが、探検隊にピンチや不幸は付きものだったりすることを、皆さんには念のため頭に入れておいて欲しい…




〜あとがき〜
久々の更新。
最後のくだりは、気にしないでください。
今作は、常に危険が迫ってると言うほど緊迫した作品ではないのでねww
ほのぼのコメディ時々シリアス気味を目指しております((知らん