ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

アニポケ劇場 〜背筋も凍るキョーフのお時間〜

「…暑い」
 時は猛暑。ニュースでは、熱中症が話題となっている。
 夏でもここ程暑くはないシンオウ地方で育ってきたシンジにとって、この暑さは応える。
「そんなに暑いなら…」
 見かねたシゲルが、近くの扇風機を指さして言う。
「アレに当たれば涼しくなるんじゃないのかい?」
「なるほど」
 というわけで早速あたってみる。
「………」
「どう?」
「…風邪が生ぬるくて涼めない…」
「それなら…」
 今度はシューティが、冷凍庫から、冷気を出す美味しそうなアレを持ってきた。
「アイスでも食べれば?」
「なるほど」
 そして、アイスのふたを開け、早速食べ始めるシューティ。
「………」
「どうしたの?」
「…アイス、お前の分しか無いのか?」
「基本だろ」
「何?」
「まあまあ落ち着いて落ち着いて」
 シゲルが宥めるが、
「なんでこんな真夏に餅つきしなきゃならんのだ!」
「僕は『落ち着いて』って言ったの…!」
(最近シンジまでボケをかます様に…)
 怒りでさらに暑くなったシンジ。
「じゃあさ…」
 今度はサトシがやってきた。
「氷ポケモン冷たいから良いんじゃないか?」
「…なるほど」
「だからマニューラ貸して」
「…いいが、コイツ冷たくないぞ」
「冷たいよ」
 何をするのかと見ていると、
「じゃあマニューラ俺に冷凍ビ…」
待て待て待て待て
 シンジが横に入る。
「お前、まさか冷凍ビームをもろに受ける気か」
「涼しいじゃん」
アホ
 そんな四人を見て、デントはある事を思いつく。
「そうだ!それなら今夜、肝試ししないかい?恐怖で涼しくなるよ!」

 そんなこんなで夜。
「遂に肝試しが始まるよ、シンジ!」
「お前汗の量が凄いぞ。冷や汗か?」
 まさかと否定するシューティだが、顔が少々青白い。
「大丈夫だよ、今回は二人ずつのペアでやるらしいから。心細い事なんて無いさ」
「相手はどうやって決めるんだ?」
「くじ引きだってさ」
 さて、そのくじの結果は…?!
「僕は1だ」
「俺3」
「僕は4ですね」
「これどーいう数字?」
 デントに聞く。
「同じ数字の人とペアを組むんだ。ちなみに僕は2」
 というわけで、同じ数字を引いた人を探す事に。
「1を持ってる人ぉ!!返事してをして…」
「ハーイ」
 意外と早く見つかった。
「あ、ハルカか。じゃ、よろしくね」
(…遠くても分かるけど、間近で見るとさらにイケメンだなぁ…シュウには劣るけど
 さてと、と呟き、シゲルはシンジとシューティの姿を探す。
「あ、シンジ君!!君の相手は誰だった?」
「え、あぁ、あいつ…」
 何となく暗いシンジが指さしたのはヒカリ。
「おぉ!!!!良かったじゃないか!この機会にアタックしなよ!ところで、ヒカリの反応は?」
「『あたしのくじ運もとうとう尽きたか…』だとさ」
 なるほど、だから落ち込んでいたようだ。
 続いてシューティを見つける。
「やあシュー君。君の相手は…アイリスか」
「そのシュー君って言い方やめてください」
「アイリス、こいつがびびった時は頼んだよ」
 そしてついでに、他のペアも見る事にする。
「サトシ君はタケシとか。ここについてはつまんないから触れる必要はないな」
「どういう意味だよ」
「そしてもう一組はデントとカスミ…」
 シゲルは何かを思い出した様なそぶりを見せる。
「管理人(スペ)が持ってるゲームで、あの二人のアバターが結婚しているんだよね。ってことは二人自身も…?!」
「ゲームでの出来事をそのまま現実世界へ持ってくるのはやめてくれないかな?」
 独り言のハズが筒抜けだった様だ。
「それに、カスミにはサトシがいるんだよ。おまけに、僕にもアイリスという心の…」
「早く肝試し始めよーぜー」
 待ちくたびれた様子のサトシ。

「それじゃあ、これから肝試しを始めまーす」
 何故か管理人が主催者顔で司会を務めている。
「ルールは簡単。ここから離れた所にあるお屋敷まで行きます。んで、お屋敷の中のどこかに、数字が書かれたメダルが置いてあるから、自分のペア番号と同じ数字が書いてあるメダルを持ってここまで戻ってきてね。道中や屋敷の中には、バイトさんやゴーストポケモン達がみんなを脅かすために隠れてます。リタイアもアリ。ただし、ペアごとにペナルティがあるからね。一番最初にメダルを持って帰ってきたペアには、ご褒美があるから頑張ってね。まあ、遅くてもリタイアしなければ景品はあげるから」
「管理人のキスとかだったらお断りだぞ」
「こっちのセリフだウニ頭
 その時、アイリスが手を挙げた。
「質問です。他のペアを妨害するのってアリですか?」
「あぁ〜、まあいいよ。ただし、他のペアのメダルを隠したりはしないでね。あと、この辺りの森は意外と深いから、わざと道に迷わす様な事もナシ」
(どう妨害しろと…?!)
 とにかく頑張れと管理人は言う。
「んじゃ、そろそろスタート!」

 1番ペア、シゲルとハルカ。
「なんか出そうで怖いかも〜…」
「君意外と恐がりなんだね。大丈夫、出るとしたってゴーストポケモンかバイトさんだよ」
 ところで、噂をすれば影という言葉があるが…
「出たぁあああああああああああ!!」
 ほら来た早速。ゴーストが数匹、二人の目の前に立ちはだかる。
「…さて、これじゃ前に進めないな」
「どうするの?」
「そうだね…」
 シゲルは、モンスターボールを一個取り出し、ニヤリと笑う。
「彼らには悪いが、手っ取り早く倒すしかないよね」

 3番ペア、シンジとヒカリ。
「………」
「………」
(さっきから一言も話してないッ!!)
 さすがに気まずいが、だからといって下手に話すと、互いの機嫌を損ねかねない。
「恨めしやぁああああああ〜」
 早速出てきたのは、バイトさんの中で一番小さい人(?)だ。
「………お疲れ様です」
「……どうも、ね…」
 二人の肝がすわっているのか、バイトさんの演技力が欠けているのか。
 なんだか酷く寂しくなったのだった。
 すると今度は、アイリスとシューティを見つけた。
「あ、シュ…」
 呼ぼうとしたとたん、二人はすぐに走り去ってしまう。
「…?!」
 呆然とするシンジ。

 そのちょっと前、4番ペア、シューティとアイリス。
「ねえシューティ」
「何?」
「ここどこ」
「知らない」
 このやりとりから見て分かる通り、今二人は迷子である。
「どうしよう」
「そもそも屋敷ってどんななんだろう…?」
 管理人は、そんな音は一言も言っていなかった。
 その時だ。
 後ろの茂みからヨマワルやサマヨールがたくさん出てきた。
 ちょうどその頃男女の悲鳴が聞こえたらしい。
「…も、もういやぁ…」
「……あれ?」
 ヨマワル達から逃げてきたシューティたちが目にしたのは、小さな女の子だった。
「あの、お兄さん達どうしたの?」
「あ、いや、実は、ちょっと道に迷っちゃって…」
「この近くにお屋敷とかないかな?知ってる?」
 すると女の子、にっこりと笑って言う。
「うん、知ってるよ。ついてきて!」
 というわけでついて行く。
 しばらくすると、近くからシンジの声が。
「あ、シンジ…」
 声のする方へ行こうとしたとたん、女の子がシューティの袖を掴む。
「お屋敷へ行くんでしょ?寄り道しちゃダメ!」
「え?あ、うん…」
 何故そんな言われ方をされているのか、全く分からなかったが、とりあえず頼んだのはこっちだ。そのまま走ってついて行く事に。

 一方、シゲル達は、ゴースト達を倒し、進み続けている所。
「お、シュー君達発見!おーい、シュ…」
 しかし、シューティもアイリスも、こちらに気付いていないかの様な素振りで去ってしまう。
「……酷い…」
 大きなショックを受けたのだった。

 その時、シューティ達は。
「ねぇ君、そのラッパ何?」
「私のお気に入り。ちょっとうるさいけど吹いて良い?」
 そして、淡々とそのラッパを吹き始める女の子。
 その大きな音と少し不気味な様子に気をとられ、シゲルの呼びかけにも答えなかったのだった。

 そんなこんなで、3番ペアは屋敷に到着。
 西洋風のその屋敷は、あちこちに蔦が絡まっていたり、イトマルの巣がかかっていたりと、遊園地などのお化け屋敷にある様なのと同じような、不気味な雰囲気を醸し出していた。
「……さすが、肝試しに使われるだけあって不気味ね」
「早く行くぞ」
 雰囲気なんて知ったこっちゃない、とスタコラと進む。
「ねぇ、さっきから全然怖がる様子がないけど、ひょっとして、こういうの得意なの?」
「まあな…」
 へぇ〜、と少し意外そうなヒカリ。
 とにかく、メダルを探してとっとと帰ろう。
「にしても、どこを探せばいいのかな?」
「…まずは一階だ。お前は向こうを探せ。俺はこっちだ」
 いつの間にかシンジが仕切っている事に気付くが、代案もないので、とりあえず従う。
「えっと、こっちの方は、ナシ。こっちは…」
 しかし、外見からしてこの屋敷は相当の広さだ。そんなすぐには見つからないだろう…
「おい、あったぞ!」
「ホント?!」
 言ってるそばから見つかった様子。自分が探す手間が省けたヒカリは、シンジに駆け寄った。
 その時事件は起きた。
 なんとシンジが、何もない所でコケてしまう。
 その時ちょうど目の前にヒカリがいたのだが…おわかりになるだろうか。

 ちょうどその頃、1番ペアも屋敷に着いた。
「うわぁ〜、これこそなんか出そうかも〜…」
「まさか」
 屋敷に入ると、どこからか声が聞こえる。
「イヤッ、まさかお化け?!」
「う〜ん、なにか口論の様な感じだけど」
 早くメダルを手に入れて立ち去りたいが、何があったのかも気になる。
 結局、声のする方へ言ってみる事に。すると…
「何でこんな事になるのよ!!責任取りなさいよッ!!!」
「どう取れと言うんだ!俺だって好きでこうなったんじゃない!」
 そこにいたのは、紛れもない…
「シンジ!、ヒカリ!」
 シゲルが呼ぶと、二人もこちらを向いた。
「何があったの?」
「あのね、さっきシンジがメダルを見つけたんだけど、何もない所で躓いて、あたしと正面衝突したの」
 見ると、二人とも額が真っ赤だ。
「へぇ〜、どうせなら額じゃなくて口がぶつかれば良かったのに
お前らもぶつけてやろうか?そこら辺のコンクリートとかに
 そこでハルカ、こんな事をしている場合ではないと気付く。
 なんせ、彼らはもうメダルをゲットしてるのだ。早く見つけなければ先を越される。

 その頃寮の前では、デントとカスミが。
 メダルは持っていないので、ゴールしたわけではない様だ。
「カスミが足をくじいてリタイアかぁ〜。惜しかったねぇ。一応ペナルティはあるけど」
「あるの?!」
「許せカスミ。これは寮の掟なのだ」
(管理人がなんかの役に入ってる?!)
 そう言って管理人がまず取り出したのは、ネットボールだ。それもいっぱい。
イトマルアリアドス、スピアー、その他モロモロ虫ポケモンカモォォォォォォォン!!」
「イィヤァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!」
「そして、デントにはこの子をプレゼント」
 出てきたのは、チョロネコ。デントの苦手なポケモンだ。
「さらに、チョロネコ!やぁっておしまぁぁぁぁい!!!!」
 するとチョロネコ、何故か置いてあったデントの食器やらに爪を立てる。
「ノォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!」
 二人とも、この夏一番の叫び声だったという。

「ようやく屋敷についたぁ…」
 なぜ案内がついている4番ペアが、こんなに遅れているかというと、途中アイリスが、おなかがすいたからと木の実を探しに出掛けてしまったからである。
「全く、勝手な行動はしない。基本だろ」
「だって!おなか減ったんだもん!!あげないからね」
 二人の口論なんてお構いなし。女の子は、スタスタと歩いていく。
「…ねぇ、屋敷の場所は分かったから、もう帰っても良いんだよ?」
「確かに、もう遅いし…」
「大丈夫。やみくもに中を調査してても、すぐに終わらないでしょ?」
 しっかりした子だ、と感心する。
 すると、またしてもシゲル達に遭遇。
「あ、シゲルさんもまだだったんですね…」
 しかし、シューティが話しかけても、シゲルは、ふんっとわざとらしくそっぽをむくと、答えずに行ってしまった。
「え、何で?」
 そのあと、ハルカが「仕方ないよ」と声を掛ける。
「え?え??何????」
 頭の中が混乱しそうになっていた。
「とにかく、メダルを探しましょう」
 すると、女の子がアイリスの腕をぐいっと掴む。小さいのにものすごい力だ。
「こっちだよ」
「え、場所知ってるの?」
「こっち」
 何度聞いても「こっち」の一本張り。仕方なくついて行く。
 すると今度は、シンジ達も発見。
 また無視されるだろうか、と思いつつも声を掛けてみる。
 すると、シンジは、アイリスの方を見るなり、逃げる様に走っていった。それを追いかけたヒカリの手にはメダル。
「…………?!」
 混乱を通り越してショックだ。
 ただ避けるだけならまだしも、逃げるってどういう事だ。
 まさか、あの時のお返しか。いや、女の子の姿は彼らにも見えてるはずだ。シューティ達自身の意志でやった事でないんだから、怒る事は無いと…
「お兄ちゃん早く!」
「あ、ごめんごめん」
 女の子はとにかくスタスタと歩く歩く。
 なんだか、本当に不気味だ。だが、案内して貰ってる身でそんな事は言えない。

「ちょっとシンジ!何でいきなり走るのよ!!」
 森の中、ヒカリが後ろから叫ぶ様に聞く。
「さっき一回逃げられたからって、仕返ししなくたって良いじゃない」
「いや、あいつらの近くに居ちゃ行けない様な気がしたんだよ」
「は?」
 
「ここ」
 ついて行った先は、暖炉のある部屋だ。
「あ、メダル!!」
 暖炉の上に、4と書かれたメダルが。
「よし、これを持って帰れば…!!」
 シューティが暖炉に近づき、メダルに手を伸ばした瞬間、女の子が突然、シューティを思い切り押した。
「?!?!」
 暖炉に顔を突っ込んだシューティ。そこから見えたのは…
「な、なんだこのブラックホールみたいなのは?!」
 すると女の子、またしてもシューティを押す。
「ちょ、何するんだ!!」
 暖炉に背を向けて叫ぶシューティ。
「入れ」
 今まで聞いた事のないくらいの、恐ろしい声。
 アイリスは逃げようと、ドアに手を掛けるが、突如ドアをすり抜けてきたゴースト達に足止めされる。
「何でこんな事をするの?!」
 だがゴースト達は答える事も無く、アイリスにシャドーボールをお見舞いした。
 ちょうどその時、部屋の外にはシゲルとハルカが。メダルを探してここまで来たのだが…
「なんかこの部屋、めちゃくちゃ邪気ってない?!」
「中からシューティ達の声がするし、なんかゴースト達が入ってたし。一大事だ!管理人に知らせよう!!」

ピロロロロッ
「…もしもし」
『あ、シンジ?!大変なんだぁ!!』
「…それを俺に報告してどうする」
『お願い!僕管理人の電話番号知らないんだぁ!!』
「ンなのもん俺だって………あ、知ってる」
『教えて!!!もしくは君から伝えて!!』
「落ち着け、何があったんだ」
『こんな時に餅なんかつけるかぁ!』
「俺は『落ち着け』と言ったんだアホ!!ていうかそれ、昼間の俺じゃないか!」

 この知らせは、管理人やそこで待機してたバイトさん、そしていつの間にかゴールしていたサトシとタケシにも届いた。
「なんか良くわかんないけど大変だ!屋敷へ急ごう!!」
 森の道を急ぐ。
「おい、管理人!道に迷うなよ。こっちだこっち!」
「え、そこ?」
「なんで場所が分からないんだ?」
「いやぁ、一回行っただけだとすぐ忘れるんだよね」
 そんなこんなで屋敷到着。
「あ、シゲル!アイリス達はどこに?」
「二階だ!」

 その頃、シンジとヒカリは呆然としていた。
 寮の前には、居るはずの管理人が居ない。
 居たのは、虫ポケモンに囲まれながら気絶していたカスミと、傷跡がついた食器を抱いて泣きじゃくるデントだけだった。

「……ドア、開ける?」
「開けないでどうするんだよ」
「…じゃあ、誰が開ける?」
「それは最高責任者のあなたが」
「いやいや、私だって一応女の子だし。男のアンタ達が行ってよ」
 そんな事を言ってる間にも、二人に危険が迫ってるかも分からない。
 管理人、勇気を振り絞り、タケシに頼んでドアを開けて貰う。
「全然勇気振り絞ってねぇじゃん!!」
「やっぱり私はか弱い女の子ですし」
 ドアの向こうは、説明仕切れないくらいの邪気で満ちている。
「シューティ!アイリス!」
 サトシの呼びかけに、ゴースト達まで気付いてしまった。
「うわわわわわわわわわわわわわ」
 管理人もバイトさんも混乱状態。もう頼りにはならない。
「やるっきゃない!ピカチュウ、10万ボルト!!」
 ゴースト達を蹴散らし、アイリスはまず救出成功。
 だがシューティは、まだ戦っている。のだが…
「…シューティが、黒いもやとの、大激戦。字余りか
「何こんな時に呑気に川柳なんか詠んでるんですかぁ!!ていうか、もやじゃなくて人間…」
「何を言う。そんな生き物にすら見えないもやを、どこをどう見たら人間なんだ」
 なんだか話がかみ合っていない。どういう事だろうか。
「とにかく、ケンホロウ!風起こしだ」
 風でもやが消えるかと思ったが、そう簡単には…
「あ、消えた」
「嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!」
 驚きで力が抜け、シューティはそのまま暖炉に、落っこちる前に頭をぶつけたんでギリギリセーフ。
「さ、早く帰ろう」
「シゲル、メダルは?」
「もういいよそんな物!!」

 後日。
 あとから分かった事、あの屋敷は、数年前に主が亡くなったそう。
 その時いたのが、あの暖炉のある部屋。
「…で、その暖炉は冥土につながっていたんだとさ。多分、主の魂が逝くときに出来たんだろう」
「メイド…?」
「ベタな勘違いとかしてないよな?」
 しかし、不思議も残る。
「何であの時、君は僕らを無視したんだ?」
「え、そりゃ、あの子が…」
 そこでシンジが待ったを掛ける。
「さっきからあの子あの子って、誰の事だ」
「え、だからあの時僕を暖炉に入れようとした女の子だよ。5歳くらいの子で黒髪で、黄色いワンピースを着た!」
「そんな子見た事ないね」
 だが、現にシューティ達の近くには常にあの女の子がいた。
「そう言えば、だいぶ前にサマースクールっていうのに参加したんだ。その時の肝試しでも、そんな子を見た事があるよ。ていうか全く同じ」
「え………………」
 何でも、その女の子がサトシ達を冥界へ連れて行こうとしたんだとか。
「…同じ、だね」
「………………」
 多分、また誰かを冥界に連れて行こうと、この世を彷徨い始めたのではないのだろうか…
 なんだか恐ろしくなった四人。そこでシューティが、もうこりごりだと言うかわりに、話を変える。
「そういえば、シゲルさんはメダルなしで帰ってきたけど、ペナルティはなかったんですか?」
「うん、非常事態だったからナシだって」
 安堵の溜め息も交えて話す。
「ちなみに、最初にゴールしたのオレら何だけどさ。どうしてあんなに早かったかわかる?」
「全然」
「実はさ、ケンホロウに乗って屋敷までひとっ飛びしたんだ。ポケモン使っちゃダメとは、特に言われてなかったしな」
(悪っ!!!!!)
 すると、シューティは何かを思い出した様子。
「でさ、シンジは、あの時、何で逃げ出したの?」
「ん、お前らの近くにとんでもない邪気を感じたから。近付いたら俺らまでやられそうだった」
「シンジ、もしかして霊感強い?」
「少し」
 じゃあさとシゲル。
「この近くに幽霊とか居る?見える?!」
「そんなの居て溜まるか」
 そう言いつつちらっと窓を見ると…
「…!!!」
「どうしたのシンジ?」
 例の女の子と思われる子が、赤紫の目で、憎しみに満ちた目で、こちらをギロリと見つめていた…




〜あとがき〜
長い。長いぞォォォォォォ。
でも、ようやく…ようやく終わりましたぁぁぁぁぁぁぁ〜
開放感MAX
最後のシーンは、恐怖満載、のハズなんだけどスペの文才不足でそう感じなかったらゴメンなさい。
出来たらそのシーンの絵を描きたいなぁ…と思ったり思わなかったり。