ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

雨のち晴れのち僕たち 〜プロローグ〜

 今日も王宮含むこの国は平和だ。
 病を持つ王である父親に変わり政権を握っている、齢14の王女、イーブイのセドニーは、自分の部屋で音楽を聴いていた。
トントン
 ノックの後、失礼しますと一言言い、召使いのヨーテリーがやって来た。
「王女様、王女様宛に、正体不明の者からレコードを預かっております」
「…正体不明の者から送られてきた物をそのまま取り次ぐほど、お前は馬鹿だったかしら?」
「渡さねば、王女様の身に不幸が豪雨のごとく降り注ぐと言われました故」
「どうやらお前は大馬鹿だったようね」
 まあいいわと、セドニーはレコードを蓄音機にセットした。
「正体不明の物から送られてきたレコードを、何のためらいもなく聴こうとする王女様も馬鹿なのでは」
「そのような馬鹿な言動、今度やったらクビにしますわよ」
 そうこうしているうちに、音が流れ始めた。
『………えー、どーも、ご機嫌いかがですか?…まあ、それはさておき、もしこの世界が滅びるとして、自分だけ助かる方法があるとしたら、あなたはどうしますか…?
「…は?」
 突然の事に驚き聞き返すが、録音された声は答えてはくれない。
『いまから20分のうちに、ハウライト丘という場所まで、あなた一人で来てください』
 ハウライト丘。この王宮からそう遠くはない。
 だが、セドニーは後ろの左足が生まれつき悪く、歩くのも走るのも遅い。
 というか、今まで移動手段はほとんど馬車だったので、残りの三本の足で立ったり少し歩ければそれで十分だった。
 一人で、と言う事は、馬車を運転する者も、馬車を引くギャロップ達も連れて行けないということだ。
『もし他の人を連れてきても、その人は助かりません。あなた一人しか助からないのです。…念のため言っておきますが、これは悪戯なんかではありません。大真面目な話なのです』
 …と、顔も知らぬ相手に言われても、説得力など欠片もない。
 その時だった。
バサッ
 一匹のマメパトがやって来た。
「…あら、貴方手紙の配達人じゃないの。何の用?」
 手紙を持っていないから、おそらく伝言だろう。
 そのマメパトは、とても悲しそうな顔をしながら言う。
「この世界は、本日をもって終了します…」
 泣きながら飛び去っていった。
「………」
「…王女様、如何なさいます?」
 セドニーは、しばらく考えていたが、やがて口を開いた。
「…今すぐ出掛けます。決してついてきてはなりません」
「…かしこまりました。お急ぎください。20分は、長い様で短いのですから…」
 召使いの声が震えていた様な気がした…



〜あとがき〜
まずはプロローグ完成。
短くてもプロローグだから仕方ないでしょ?((アホ