ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

アニポケ劇場 〜パーティーは13日の金曜日 もれなく仏滅もついてきた〜

 カレンダーを見つめるシューティ。
「…シゲルさん」
「なんだい?」
 シューティは、少し間をおくと、
「明日の13日は金曜日ですね」

13日の金曜日?それが??」
 サトシが興味津々そうな目で聞いた。
「俺知ってる。13日と金曜日が重なる日は、不吉な日とされているらしい。ちなみ、今回は仏滅も重なっている」
「仏滅って?」
「何をするにも良くない日」
「じゃ、明日は歩くのも食べるのも、息をするのも良くないのか?」
「それならいっそ死んでしまえ」
 サトシの質問に、シンジは淡々と答えていく。
「まあ、そんなのは迷信だけどね」
「言い出しっぺが何を…」
「え?」
 シゲルのぼやきを、シューティは聞き逃さなかった。
「だが、シューティが言っていることは正しいと思う。どうせ何も変わらないさ」
 言い終わった後、いや、言い終わる前に、カスミがやって来た。
「ねえみんな、明日あたし達の手作り料理を振る舞うの!いわゆるパーティーよ!絶対来てね!」
 そそくさと行ってしまった。
「…なあみんな、これって、あながち迷信でもないっぽいぞ…」
「何で?」
「みんな知らないんだ。カスミの料理の凄まじさを…」
「?!」
 よくわからないので、タケシに聞いてみる事に。すると…
「確かにカスミの料理、もとい『カスミスペシャル』は凄まじい不味さだ。おまけに、『ハルカデリシャス』や、最近できたばかりの『ヒカリプレミアム』も出るらしい。どれもまともには食べられないらしいから気をつけろ」
 少し考えてから、シゲルが口を開く。
「一つだけわかった。明日は僕ら仲良く黄泉へ旅行だ」
(諦めちゃってる…!)
 ともかく、明日だけは13日の金曜日(仏滅)は迷信では無くなる様だ。

 てなわけで、やって来ました不吉な日。
「…今から理由付けて欠席しても良いだろうか…」
「あ、だったら僕も」
「ずるい、僕も一緒に!」
 とにかく乗り気じゃない三人。ちなみに、サトシは理由(もちろん嘘の)を付けて欠席。
 デントが料理の指導をしたそうだが、そんな簡単に美味しくなる物なのか。
「あ、でも!ハルカデリシャスはポロックだけだったらしいし、ヒカリプレミアムはまだ不味いと決まった訳じゃないし!まともに食べられないって言ってたけど、たまたまその時は失敗しちゃったとかだよきっと!!!!」
「そ、そうですね!希望はある!」
 不安に押しつぶされぬよう、なんとか理屈をつけていたものの…
「あ、来たね!じゃ、さっそく始めましょ!」
「生憎サトシもデントもタケシもいないけど」
「え、居ないの?!」
 なんと、サトシだけでなく、デントやタケシも不参加。
(チッ、あわよくばあいつらを犠牲にして逃げようと思ったのに…)
 シンジの腹黒い計画は崩れた。
「それじゃ、さっそく私たちの料理をどーぞ!」
 出された料理を見るなり、シューティが逃げ出す。
 が、すかさずアイリスに捕まってしまう。
 シューティが逃げ出すほどの料理を前に、シゲルの理屈も崩れた。
(これ、果たして料理と言えるのだろうか…)
(いや、ちょっと前までは何の変哲も無い食材だったんだ。それをあいつらが変にしたんだ…!)
 恐怖の次は食材に同情まで。
「ところで、アイリスの料理は?」
「あ、あたし料理出来ないから…」
(正確には誰も出来てないがな…)
「ま、細かい事は気にしないで、食べて食べて。美味しそうじゃない」
 アイリスの言葉が棒読みにしか聞こえない。彼女も見た目でこの料理の凄まじさはわかっている様子。しかし、立場上逆らう事は出来ないらしい。
「…やっぱり無理だ。俺、急用思い出したから帰る。じゃ、後は頼んだ…!」
「ちょ、シンジ?!」
 すると、アイリスがシンジの前に立ちはだかる。後ろからヒカリが料理片手にやって来た。
「一口くらい大丈夫でしょ!ほら!!」
「いや、いらない…」
「何で!あ、もしかして食べたくないの?!せっかく頑張って作ったのに、食べてくれないなんて酷い!!!」
 最終的には泣き出す始末。シンジもすっかり参った。
「…わ、わかったわかった。一口だけ、な」
「ほんと!」
「…?!ちょ、お前さっきまで泣いてた……」
「ほら、じゃあさっさと食べちゃって!でもちゃんと味わってよね!」
「いや、まっ…」
 その後、その場に倒れ込んだシンジ。
「…ヒカリ、その料理、何を使ったの?」
「え?ミクルのみとナゾのみ…」
「なんでそんな珍しい木の実持ってんの?!てか、そんな渋い木の実と辛い木の実使えばシンジも倒れるって!!」
「え、シンジそういうの苦手なの?」
「それはわかんないけどとりあえず違ーう!!」
 大声を出して疲れた(ツッコミ疲れも込む)シゲル。息を荒くする。
「まあまあ、これ食べて元気出して!」
「この期に及んでまたそれかーい!」
「いいから食べなさい」
 寮中に響き渡るシゲルの叫び声。
「あれ、シゲルまで倒れちゃった」
「じゃ、残るはシューティだね」
「?!い、いや、この流れでそれはおかしいよ?!」
「い い か ら」

「……ル…シゲ…シゲル!!!」
「?!」
 気が付くとそこは、寮の保健室。
「よかった。他の二人も無事だよ」
「精神的に重傷だけどね」
 見ると、シンジもシューティも、起きてこそいるが、その顔は真っ青だ。
「大丈夫?」
「…これが大丈夫に見えるか…」
「そうだと思って、お見舞いのお菓子を…」
「いらない!!!!!!!!!」
「何で?」
「お前らの料理のせいで俺らは三途の川を渡りかけたのは分かるか?!」
 何はともあれ、今日の不吉なパーティーは、良かれ悪かれ終わりを告げた…
「あ、サトシ達食べる?このお菓子」
「?!」


〜あとがき〜
約二週間くらい遅れている件。
そしてオチが酷い。
まあ、暇つぶしにでも読んでやって。