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ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

アニポケ劇場 〜デートじゃない。ショッピングだ〜

 5月。暖かな空気が眠気を誘う。
 シンジは、小さくあくびをしながら、向こうのベンチに目をやった。
 そこに座っているのは、いわゆるバカップルだ。
 こんな半端な時間までイチャイチャするな、と言いたい気持ちを抑え、その場を立ち去ろうとする。と、
「あ」
 後ろで、どこかで聞いた声がする。
 予想は出来ている。振り返ると、案の定、彼女がいた。
「シンジ、こんなところで何やってるの?」
「…お前には関係ないだろう」
 ヒカリだ。
 全く、何でコイツはいつもいつも…
 そう思いながら、また去ろうとする。
「え、行くの?つまんないの」
「どうせ、いたってつまらんだろう」
 何がしたいんだ、と溜め息をつく。
「…ねえ、シンジ、この後ヒマ?」
「……忙しそうに見えるか」
「全然。ねえ、もしそうなら、ちょっと付き合って欲しいんだけど!」
「…何でお前は、いつもそう唐突なんだ」
 こっちの都合も考えろ、とも言いたかったが、ヒマな自分の言う言葉ではないことに気付く。
「で、何に付き合えばいいんだ…?」
 とりあえず、OKという形で聞くと、ヒカリの顔がパアッと明るくなった。

 ヒカリに連れられやって来たのは、最近オープンしたショッピングモールだ。
 ここまで来れば、彼女が何に付き合って欲しいかはわかる。むしろ見え見えだ。
「お前、俺を荷物持ちにでもする気か」
「え、やってくれるの?ありがとー!!」
 猫なで声でヒカリは言う。
 どういう訳か、彼は墓穴を掘った様子。
 反論するのを諦める。
「で、それを考えてないってことは、一体何のために俺を…?」
「あぁ、そうそう。新しい服を買おうと思ってるんだけど、自分で決めると、いつも同じような服ばかりになるから…。たまには他の人の意見も聞きたいし!」
「……何でその役目に、俺をセレクトした」
「いや、ちょうどその場にいたから」
 …やっぱり、所詮そんなものか。
 少しとはいえ、期待した自分がバカ、いやアホだったと反省した。
「さ、わかったらとっととついてくるの!」
「…一人で進むとはぐれるぞ」
「大丈夫!わたしはそんなバカじゃないから!」
 そう言うと、スタスタと歩いていってしまった。
 ヒカリの言葉を聞いたとき、シンジは、昨日のサトシ達との会話を思い出す。
「ヒカリが『大丈夫』って言うときは、大抵大丈夫じゃないから」
 確か、そんなことを言っていた。
 この予感が当たったら、めんどくさそうだな…

 シンジの予想は、見事に的中。
 いつの間にか、ヒカリは一人になっていた。
「……あちゃー」
 いつもなら、ここで途方に暮れるのだが、最近は違う。
「フフ、こんな時は、これの出番ね!」
 ヒカリがバッグから取り出したのは、お馴染みのモンスターボールを、平たくつぶした様な形の、コンパクトな物。
 これが、今流行りの『ポケータイ』だ。
 どうやら、これでシンジと連絡をとろうということらしい。が、
「…そういえば、シンジの電話番号、知らない…」
 ポケータイがあっても、電話番号がわからなくては意味がない。
 今度こそ途方に暮れるのだった…
「あ、いた…!」
 シンジは、すっかり気力を無くしたヒカリを見つけたのだった。
「ったく、さっそく迷子とは、ぬるいな」
「あ、言ったわね!」
 だがヒカリは、特に反論は出来なかった。言っていることは間違ってはいない。
「さて、この調子だとまた迷うな。どうするか…」
「ちょっと!あたしが二回も同じ事を繰り返すとでも思ってるの?!」
 失礼しちゃう、とヒカリは言う。シンジは、それを見ると、からかう様に少し笑って、
「じゃ、試してみるか…?」
「………やめとく」
 やはり自信は無い様子。 
「さ、早く行きましょ!」

 てなわけで、さっそく服屋。
「ここ、俺も入るのか…?」
 最初に向かったのは、見るからに女の子チックな店。付き添いとはいえ、男が入るのは抵抗がある。
「できたら、一緒に来て欲しいんだけど?」
 個人的には願い下げだが、何せ、ヒカリとは元々一緒にいる機会が少ないこともあってか、とりあえず入ることに。
(…もしこれを誰かに見られたら大変だな…。ハルカならまだしも。だが、ジュンだけは会いたくない。会ってたまるか…!)
 だが、そういうときに限って、そういう奴に出くわすのがお約束。
 ちょうどそこにいたジュンが偶然、その服屋の近くを通りかかったとき、二人を見つけてしまったのだった。
「…これは!」
 危機感というものを感じたジュン。ポケータイで、シンジにメールを送る。
 内容はこうだ。
「ヒカリと何をしている(^言^)」
 一行という短い内容に、いっぱいの怒りと嫉妬を込めた。
 さて、ジュンとシンジの距離は近いので、メールはすぐに届いた。
(…まさか、本当にいるとは…!!!仕方ない)
 とりあえず返信。
「特に何も。安心してショッピングでも楽しんでろ」
 その後、すぐさま返事が。
「安心もクソもあるかぁ!!」
 やっぱり、と思う。
「シンジ、何してるの?それより、これどう?」
「え?あ、…色的に、そっちの方が良いんじゃ…?」
「これ?あ、ホントだ、これ良いかも!ありがと!」
 決めるの早くねーか、と思いつつ、ジュンの姿を探す。
 この様子を見つけられたのだ。そう遠くにはいまい。
「おまたせ!そうだ!ついでにアイス食べに行こ!31%オフだから」
「どういう流れだよ…」
 シンジは、この際ジュンの事は忘れる事にした模様。
 ちなみに、ヒカリが買った服は、もちろんシンジの手にある。

 アイスを食べに向かった所は、まさに長蛇の列だ。
「……並ぶ、のか?」
「…うん。ここのモモンアイス、美味しいもん」
 というわけで、列の最後尾へ移動。
 列は、入り口のドアにまで続いていた。
「………やっぱり並ぶか?」
「……もちろん」
 あくまで、ヒカリは譲らない様子。
 さて、その数分後。ようやく目の前にアイスが見えてきた。
「う〜ん、ダブルにしよっかな〜」
「太るぞ」
「心配ご無用。ちゃんとダイエットするもーん」
 別に心配はしてない、と言い返すのも、そろそろめんどくさい。というか、元々めんどくさい。
 今思うと、なんで友達ですらない二人が、一緒に買い物したり、ついでにアイスを一緒に食べたりしてるのだろうか。
 ジュンがああしたのも無理はないだろう。
 だが、嫌なのかと言われれば、それは全く違う。
 そして、ようやくアイスを頼んで、貰って、席に着くことが出来た。
 あれだけ込んでいるのに、よく席が空いていたものだ。
「…シンジのアイス、美味しそう」
 ヒカリが、シンジのオレンアイスを見て言った。
「…食べたちゃ自分で取れ」
「いいの?丸ごと食べちゃうよ」
「やめろ。俺のアイスだ」
 別に、アイスが大好きとか、そういうわけではないのだが、やはり自分の物が丸ごと取られるのは気が引ける。
「う〜ん、じゃあ、どれくらいならいいの?」
「…これくらい」
 シンジは、自分のスプーンでアイスをすくった。
「少なっ!ケチ!」
「ゴチャゴチャうるせー。文句あるならやらん」
「はいはい、わかりましたよ」
 そう言うや否や、ヒカリはシンジのスプーンを取って、すくわれたアイスを、自分の口に入れた。
「?!」
「何?」
 いやいや、おかしいだろ。
 シンジの頭の中に、そんな言葉が浮かび上がる。
 こいつは、一体何を考えてる。普通やらんだろ。
「シンジ。お礼に一口あげる」
 そう言って、ヒカリは、スプーンにアイスを一口分すくって、シンジの顔の前に出す。
「…食えってか」
「嫌?」
 ヒカリが、自分に食わせられるのが嫌か、このアイスを食べるのが嫌かを聞かれているのかはわからないが、おそらく、これを拒否する手は無いのでは。
「じゃあ…」
 一口アイスを頂く。さすがモモンの実。甘い。
 ヒカリは、シンジが食べ終わったのを確認すると、すこし微笑んだ。
 自分の顔が赤く染まっているのを、シンジは知っていた。

〜後日談〜
「やあやあシ〜ンジ君。ジュンから聞いたよ。ヒカリちゃんとデートしたんだってね。奥手だったくせに、やるね〜」
 まさかとは思ったが、やはり伝わっていた様だ。
 変に答えると厄介なので、シンジは、特に何もなかった様な顔で、
「別に。デートって言うほどのものじゃないから」
 言い終わると、これ以上聞かれない様、すぐ去っていった。




〜あとがき〜
書けたぁ〜。
今日、ニッ○ーモールに行ってたときに思い浮かんだものです。
相変わらずシンヒカやな…
てかこれ、もう『シンヒカ劇場』でも良くないか?
…良くないな。
ではでは、ここまで見てくださり、ありがとうございました!