【シンヒカ】しゃっくりが止まらない
「ヒック」
その不思議な、声とすら言えない声をあげた誰か。
振り返ると、苦しそうな顔のヒカリがいた。
「しゃっくりを止める方法?」
ヒカリを心配したハルカが、シンジに聞いてきた。
この二人、実は意外と仲が良かったりする。
「う〜ん、一般的なので言えば、『水を一気飲みする』、『息を止める』とかだよな…」
「試して見たけどヒック、どれもヒック、全然効かなヒックくて…」
「……とりあえず、シゲルらにも聞いてみる」
そう言うと、シンジは少し足早に行った。
シンジがいなくなると、ハルカが少しニヤニヤしながら、
「シンジって、なんかヒカリのことになると必死な気がするよね」
「そうかな?」
ヒカリ、自分のそういう事に関しては鈍いのだった。
「しゃっくり?」
シゲルは少し首をかしげた。
「そういうのって、水を一気飲みしたり、息をしばらく止めてればいいんだろ?」
シューティが言うが、その策はすでに実行済みだ。
「そういえば、ビックリさせるっていう手もあるね。……!!!」
シゲルが何かを思いついた様子。シンジに耳打ちをする。
「………なっ、無理。さすがにそれは無理!」
「そこをなんとか。一気に二つのやり方が出来るよ。それに、まだやってない策もあるんだろ?最後の切り札だよ」
そんな二人のやりとりを、シューティは一人で見ている。
何はともあれ、見つけたので報告だ。
「あ、シンジお帰り。何かいい案あった?」
「ああ、まあ。あったと言えばあったし、可能性があると言えばあるし、難しいと言えば難しい…」
「何ブツブツ言ってるのよ。さあ、早く試して!」
「い、いや…」
「いやって何?ほら、早く!…大好きなヒカリちゃんのために!」
もちろん、最後はヒカリには聞こえない様、小さな声で言った。
「……いいか?」
シンジは、遠慮がちにヒカリに聞いた。
「もちろんよ。これがヒック、治るならヒック、何でもヒック、やってみせヒィックッ!!」
ヒカリはだいぶ辛そうだ。
「…わかった」
腹を決めたシンジ。と、次の瞬間。
ヒカリの肩に手を置き、顔を近づける。
これがいわゆる、
「ちょ、シゲルさん!キ、キスって!一体どんなやり方を教えたんですか!」
「え?いや、息を止めるのとビックリさせる、両方出来てるじゃないか。基本だろ。二十秒やれば十分。…ちなみに、多分あれはお互いに初めてだね」
「人のセリフ取らないでください!!ていうか、記念すべきファーストキスがこれって、いくら何でもヒドイって!!てか長ッ」
ちなみに、シンジ達以外で今この場にいるのは、何も知らないジュンと、偵察(?)しに来た、シゲルとシューティだ。
そして、本当に二十秒後、シンジはヒカリから離れ、目をそらす。
そして、互いが口を開こうとしたその時、
「オイこらシンジ!テメェ、俺の目の前で何しでかしとんねん!どさくさ紛れにィ!!」
「何でお前が出てくる!!どさくさ紛れは言い過ぎだ!大体、シゲルが、これできっとしゃっくりが止まるって言うから…」
そう言いながら、後ろを振り返ると、当の本人達がいた。
一方ハルカは、ポカンとしているヒカリに話しかける。
「ヒカリ、しゃっくり治った?」
「え?……あ、治ってる!」
声をあげて喜び合う二人。それを聞いた男子達は、
「本当に治った…」
「だから言っただろう」
「何が?何があったんだ?」
「……良かった…」
そしてその後、シゲルがヒカリとジュンににフルボッコされた事、シンジとヒカリが、当分目も合わせられなくなった事は、言うまでもない。
〜その後…〜
「単純な話、あのまま放って置けば、自然と治るものだよね。基本だよ」
「そうそう。わざわざあんな事しなくても大丈夫なんだよね、実は」
「知ってたなら最初に言え!!!」
〜あとがき〜
さっそく書いたよw
前から考えてはいたんだよね。キスでしゃっくりを止めるw
なんか、ラブコメにありそうで無いようなネタだなぁ…
…うん、楽しかった!w