ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

短編小説w

短編小説、書き終わったぁ!!!!!!
せっかくのシンヒカ作品なのと、たくさん書いたので、ブログにも貼っておこう。
↓題名『石の街に天使が来た!』

 ここはトバリシティ、というのは前回も説明した。
 ここに、一人の少女がやって来た。大きな荷物を抱えて。
「…久しぶりだなぁ、トバリシティ。あ、ついでにスモモにも会いに行こ!」
 スモモというのは、トバリシティのジムリーダーだ。そして格闘家としても有名である。
 彼女とこのヒカリは仲がいいのだ。
「あ、でもその前にこれを片付け、いや届けなくちゃ」

 その後、荷物を片付k、届けたヒカリは、トバリジムへと向かう、が。
「え?!留守?」
 どうやら出掛けているようだ。街の外には行ってないだろうと言われ、とりあえず探すことに。
「うーん、スモモが行きそうな場所ってどこだろう…?」
 デパートで買い物をしている訳もなく、ゲームセンターなんて以ての外。
 とりあえずリッシ湖に行ってみる。別に、そこにいるという根拠はないが、行けばヒントが得られるのではないかと言うことらしい。もうダメで元々だろう。

 案の定、リッシ湖にスモモはいなかった。
 別の人ならいたが。
「……!!」
 物憂げにリッシ湖を眺めるその人を見て、ヒカリは愕然とする。
 紫の髪、それと同じような色の服。そして黒い目。間違いない。
「…シンジ、何してるの?」
 シンジと呼ばれたその少年がヒカリの姿を見たとたん、その顔をゆがめた。
 それはいかにも、『会いたくない奴に会ってしまった』とでも言ってるかのような顔だった。それに気付くと、ヒカリは、
「ちょっと、何よその顔は!!そんなにわたしがいちゃ都合が悪い場面な訳?!」
「…そうだ」
 少し黙ってから、シンジは口を開いた。そして、ヒカリはその言葉にさらにムッときて言い返した。
「何それ!どんな状況なのか言ってみなさいよ!!え?」
「…うるさい女だ。さっさと消えろ」
 堪忍袋の緒が切れた、とは、まさにこの事だろう。
 その時だ。
「シンくん、おまたせー。クレープ買ってきたよ…ってあれ?」
 シンジの後ろから来た一人の少女。『少女』とは言っても、ヒカリ達よりは少し年上だ。もしかしたらスモモよりも。
 その姿をヒカリとその少女、互いが確認した瞬間だった。その悲鳴が聞こえたのは。
「sz^。:ytー!!」
 訳のわからん奇声を発し、両方ともその場に倒れる。
 ただ一人、その奇声の悲鳴を双方向で受けたシンジは、耳を押さえながら、「だから言ったんだ」と呟いた。

 それからどれくらい時間が経ったか、そんなには経っていないだろうが。ヒカリは、ベッドの上で目を覚ました。
「………?!ここは…?」
「あ、起きたんだ。意外と早かったね」
 と、ヒカリの目の前に現れたのは、シンジの兄、レイジだ。と、いうことは。
 どうやらここは、レイジ(シンジ)の家のようだ。しかし何故。
「あのね、シンジが連れてきてくれたんだよ。お姫様だっこで」
「兄貴ッ!!!!」
 いつの間にやらシンジがいた。その顔が照れている様にも見えるのは、気のせいだろうか。
 ヒカリはそれを聞き、その様子をうっかり想像してしまい、思わずまた悲鳴。
 それを見てレイジが笑う。
「そんなわけあるか。本当はサラ、もう片方の人がすぐに起きて、チルタリスで運んだんだ。俺はそれを追いかけただけだ」
 シンジの話を理解したヒカリ。そのもう片方に会いたいと申し出る、が。
「今デパートで買い出しして貰ってる。本当は兄貴とか(シンジ含む)の仕事だが、『しばらく居座る身だから』とかなんとか言って。m、会いたかったら待つんだな」
「じゃあお言葉に甘えて」
 ヒカリが言うと、シンジは驚いたような怒ってるような感じで、
「何?!まさか、お前まで居座る気か?!ふざけるな!とっとと帰れ!」
「何それ!(本日二回目)待ってろって言ったのはシンジの方じゃない!」
「誰も『ここで待ってろ』とは言ってない。勘違いするな」
「!!…そうだ、レイジさんはどうですか?」
 そう言ってレイジの方を向くヒカリ。
「俺はどっちでもいいよ。これは二人の問題だからね」
「…兄貴、何か勘違いでもしてるのか…?」
 その時、
「ただいまー。あの子起きたー?」
 どこかで聞いた声が。間違いない。
「あの!」
 ヒカリが話しかける。すると、
「あ、起きたのね。初めまして、私はサラ。よろしく」
「え、あ、はい。えと、わたしはヒカリです!よろしく…」
 こうして比べて見ると、本当に瓜二つだ。
 唯一、全く違う事と言えば、その雰囲気くらいだろう。
 互いに自己紹介をしたあと、サラがこう言った。
「にしても、はじめてあなたを見たときは、ドッペルゲンガーかと思ったわ」
「わたしもです!『もしかして今のわたし、死亡フラグ?!』とか思っちゃって」
 その様子を見て、シンジが呟く。
「あんな奴とも先輩は話せるのか…」
「うらやましいの?」
「…何が」
 再度、サラが話しかける。
「ねぇ、ヒカリちゃんってもしかして、シンくんの知り合い?」
 ヒカリは『シンくん』という言葉に反応した。
 シンくんとは、サラが付けたシンジのニックネームである。
「へぇ〜、シンくんかぁ…。おぉい、シンくん!」
「…やめろその呼び方」
 ヒカリに『シンくん』と呼ばれ、不機嫌そうなシンジ。
 どうやら『シンくん』とは、サラ以外の人には呼ばれたくないらしい。
「で、本題…」
「あ、そうそう。えっと、知り合いって言えば知り合いだけど…。でも、『友達の友達は友達』っていうし…」
 そこで、シンジから横槍が入る。
「待て、お前の友達に俺の友達なんていない」
「いるわよ!サトシが」
 その名前を聞くと、シンジはさらに不機嫌そうな顔をした。
 ―――お互いに認め合ったのかと思ったけど、だからって好きになる訳じゃないんだ。
 ヒカリはまた一つ、新たなことを知ったようだ。
「そうだ、もうすぐお昼だから、昼食作るよ。ヒカリちゃんの分もね。待ってる間、シンジの話し相手でもやっててくれないか?」
「…俺は幼児じゃ無いんだぞ。大体、こいつと話す事なんて何も…」
 と言いながらも、言いたいことはお互いにたくさんあった。

 レイジは料理。サラはその手伝い。シンジとヒカリは、レイジが預かっているポケモン達を眺めながら話していた。
「で、何でお前がここにいる」
「本当はホウエン地方を旅していたんだけど、オダマキ博士に大事な用を受け渡されちゃって。それでトバリシティに来たの。で、ついでにスモモに会おうかなと思ったら留守で、街中を探し回ってたの。で、シンジに会っちゃったって訳」
 二回目の『で、』から、少し声のトーンを低くして言った。
「シンジは何でここに?」
「…ジンダイさんと再戦しようと思ってキッサキシティに行ったが、神殿の修理で大事なところらしい。それで仕方なくここに帰ってきた。で、そのあと先輩が来て、それでいろいろあって…」
 最後の言葉は、聞かせるというより、一人で呟いているような声だった。
 またヒカリが話しかける。
「これからどこに行くとか、もう決めてるの?」
「いや、特に決めてない。ジンダイさんと再戦するところまでしか考えてなかった」
「…結構潔く言うね」
 苦笑するヒカリ。それに対して、シンジはクスリとも笑わず、
「…お前、なんでコーディネーターになろうとした?」
「え?それは、ママに憧れて…。わたしのママ、トップコーディネーターなの!凄いでしょ…って、バトル一筋のシンジに言っても無駄か」
「…俺をバトルだけの奴と思ってたのか…?」
 違うのとヒカリが聞くと、シンジは呆れたように、何も答えずポケモンと静かに戯れ始めた。
「で、それがどうしたの?」
「いや、やっぱりみんな、親に憧れるんだなと…」
 シンジの言葉の意味が、ヒカリにはよくわからなかった。
「………」
 沈黙が続く。お互いに言いたいことはあっても、それを話す気にもならず、何か他の話題を探そうにも見つからない、といった感じだ。
 キッチンからは、料理の美味しそうなにおいがするが、気まずさ故に、二人とも気がつかないでいる。

「美味しー!!」
 レイジ(時々サラ)の料理を絶賛するヒカリ。
ポケモン達にもあげなきゃだね。シンジ、手伝ってくれ」
「何で俺が…」
 文句も言いつつ席を立つシンジ。
 というわけで、現在食卓にはヒカリとサラ、二人きりだ。
(サラさんって、なんかオーラが凄いなぁ…怖いって訳じゃないけど、むしろ優しいし。でも、何て言うんだろう、この感じ…)
 つい身震いまでしてしまいそう。ヒカリは、よくわからない感情に押しつぶされそうだった。
「ねぇヒカリちゃん。シンくんとはどこで出会ったの?どういう関係?」
 いきなり話しかけられ、ビックリするヒカリ。返答もしどろもどろだった。
「え、いや、その、旅先で出会ったんです。関係なんてそんな。ないです。全然!!ろくに話したこともないし」
 サラは、なぜか安心したような顔で「ふーん」と言った。
 このままでは、ヒカリの中に『トバリシティの人は、何を考えているかよくわからない』という偏見が出来てしまいそうだ。
「でも、何でそんな…」
「んー。やっぱり長い付き合いだし、気になるのよねぇ」
 そういうものなんだなと納得したヒカリ。
 その後レイジが戻ってきたので、ヒカリは一安心。
「って、シンジは?」
「気性の激しいポケモンに大苦戦してる。『一人で出来るから戻ってろ』だってさ」
(へぇー、あいつが…)
 旅の途中で会ったときには、考えもしなかった、シンジのもう一つの顔を見た気がするヒカリだった。

 昼食後、ヒカリは迷っていた。
 何かというと、この後またスモモを探すか、もしかしたらもう帰ってるかもしれない。
 でも、何故か気が進まなかった。どういう事だろう。
 何を思ったか、外に出る。すると、ポケモンと戯れる人の姿が。
 シンジだ。
 例の、気性の激しいポケモンと取っ組み合いかなんかでもしたのか、ばんそうこうが三つほど、いろんな所に付いている。
(意外だなぁ…。シンジがあんなにポケモンと仲良くしてるなんて。ポケモン達も楽しそう…)
 ヒカリの目の前には、キャッキャとはしゃぐ、預かったポケモン達と、ヒカリが今まで見たことのない、優しそうな、シンジの笑顔だった。
「………」
 声をかけようともしたが、声が出ない。その場を立ち去ろうにも何故か動きたくない。
 結果、ヒカリは棒のように立って、シンジを見つめているというように見えるのだ(実際そうだが)。
 すると、シンジがヒカリの存在に気付き、ポケモンから離れ、少しだけヒカリの方に来た。
「何の用だ」
 その顔は、さっきのポケモンと戯れていたときとは違う、優しさや愛想の欠片もない、よく見る無表情だった。
(何よ、ポケモンとわたしで、そんなに態度変えなくってもいいでしょ!!)
「そんなにわたしが嫌なの?」
「は?」
 思ったことの続きが声に出てしまったヒカリ。
「なんかよくわからないが、とりあえずすまん」
 その言葉に、何故かカッときたヒカリ。
 今の感情も行動も、本人にも理解不能だった
「もういい!!!!」
 たったそれだけ。たった四文字だった。
 それだけ言うと、ヒカリはスタスタと行ってしまう。
「おい、どこ行く…」
「散歩するだけよ!放っておいて!!」
 足早に街へ行くヒカリ。
 残されたシンジは、何が起こったのか全くわからず、そこに立っていた。
 唯一わかっていることは、自分はなにか間違えたんじゃないか、ということぐらいだ。
 それが何なのかはわからない。
 まあ、『嫉妬』がどんなものなのかさえ知らないシンジに、今のヒカリの気持ちが、わかるはずもないのだ。
 そこへ、サラがやって来る。
「シンくん、どうしたの?ヒカリちゃん、すっごい大声だったけど…」
 サラの問いに、シンジは首を横に振った。そうでしか答えられなかった。

 むしゃくしゃした気持ちが未だに戻らないヒカリ。ただあてもなく街の中をさまよっているが、落ち着くなんてできやしない。
 こんなんじゃ、スモモにも会えないだろう。会ったところで多分八つ当たりでもしてしまいそうだ。
「なんでこんな事に…。こうなったのもシンジが…」
 そこで止まる。
 『シンジが』?いや違う。これはシンジのせいじゃない。
 じゃあ誰のせいなのか。
(そんなの、自分に決まってる)
 だが、何故あの時、自分があんな行動をとったのか、そこがわからない。
 戻って、シンジに謝る気にもなれない。謝ったところで、嫌みなんか言われたらたまらない。シンジならやりかねない。
 途方に暮れる昼過ぎ。

 一方、シンジはというと、
「シンくん、絶対なんかしたわね?」
「だから何があったかわからな…」
「意味もなくあんなに怒るわけ無いでしょ!!」
 それはそうだ。そんなの、シンジだってわかってる。でも、本当に何があったのかがわからないのだ。
 しばらくシンジの話を聞いて、サラは少し気がついた。
(もしかして、ヒカリちゃんはシンジのこと…)
 まさかとは思うが、これなら納得がいく。
「シンジ、とりあえずヒカリちゃんに会って、もういちど話を聞いてきなさい」
「いや、多分余計に怒る。あいつ、俺のこと凄く嫌ってるだろうし…」
「そんなの、聞いてみないとわからないじゃない」
 これはもう賭けだ。直感を信じるしかない。
「それじゃあ、シンジの方はどうなの。ヒカリちゃんのこと嫌い?」
「!」
 サラの問いに驚くシンジ。
 しかし、シンジもそこまでバカではない。これの答えはすぐに出た。
「好きな人があんなに困ってるのに、見て見ぬふりをするなんて、男として、いや人間として最低よ!…行ってあげて」
 少し黙って考えると、まもなくシンジは走り出した。
 ヒカリがどこに行ったのかはわからない。だが、行くしかないのだ。荷物はまだ置いてある。街の外には出ていないはずだ。
「ガンバレ、シンジ」
 見えなくなっていくシンジの背中を見て、サラは一人呟いた。

 それからどれくらい経ったか。シンジは、リッシ湖の近くでヒカリを見つけた。
 ずっと走り回っていたので息が荒いシンジ。
「…何?」
 さっきまで泣いていたのか、ヒカリは涙声だ。
 とにかく何か言わねば。しかし、何から話せばいいのか、シンジにはわからない。
 今まで、こんなに人と接することは無かった。人に、ここまでの思いを持つことも。
 サラの時も、どちらかと言えば『憧れ』という感情に近い。だが、今回はそれとは違う。だからどうすればいいか、わからなくなるのだ。
 とにかく、まずはこの荒い息を何とかしなくては。これでは話すに話せない。
 ヒカリは、この涙声を聞かせたくなくて、言いたいことも言えないでいる。
「………なあ」
 話せるほどになったのか、シンジが口を開く。
「なんで、俺がお前を嫌いだと思った?」
 やっぱり、と思うヒカリ。わかっていても、返事まで考えてはいない。
 こういうのは、考えずとも浮かんでくるものだ。
「…だって、ポケモンにはあんなに楽しそうな顔して。なのにわたしにはそんな顔、全然してくれないし。サトシよりも扱いがヒドイ気がして。…なんでわざわざここまで?」
「それは…」
 本当のことを言おうとしても、何故か言えない。
 今はまだ言うときではないから。シンジは、今の状況をそう捉えた。
 なら、なんと言おう。
「…お前、俺ん家に荷物置きっぱなしだろ。あのまま帰られたらこっちが困る」
「は?」
 目に溜まってた残りの涙は、一気に消えていったヒカリ。
 少し間が空いて、ヒカリが大爆笑し始めた。
「?!」
 いきなりのことで目を丸くするシンジ。
 しばらく笑ってからヒカリは、
「ゴ、ゴメン。でも、やっぱりそういうシンジの方が、この場合はいいかなって。そういう、人の気持ちも考えない利己的な発言がシンジらしいし」
「お前、俺のことどう思ってたんだ……?」
 でも、ヒカリの笑顔を見たシンジは、それもどうでもよくなり、少し微笑んだ。
「あ、シンジがわたしに笑った!カメラがあったらすぐ撮ったのに」
「やめろ」
 リッシ湖は、いつの間にかオレンジ色に染まっていた。
 そしてその中に、二人の影が。
「…そろそろ帰るか。お前も、荷物」
「わかってる」
 二人並んで家に帰る姿も、湖は映していた。

…ここまで見てくれてる方はおりますか…?
珠玉の作品なので。今は。
何ヶ月後かに見直せば、『うわ、何この駄作!』ってなるんだろうなぁ…