ifの話

「もしも…」っていう空想語ったり、Reality話だったり、絵だしたり

ルイトの朝

「ルイト、いつまで寝てる!早く起きろ!」
 朝っぱらからのこのけたたましい声。
「…何?まだ七時じゃん。もーちょい寝かせて…」
「何が『まだ七時』だ!『もう七時』だろーが!さっさと仕度しろ!アンタのダチも起きてるんだぞ!」
 ルイトが言い終わらないうちに、彼女の姉、チャルコが言う。
 そのチャルコの言葉にハッとし、ルイトは一気に目が覚めた。
「え、もう?!…っていうか、今日何かあったっけ?」
「アホ!!今日はアンタのダチ、シオンの旅立ちの日だろが!んな事も忘れたか。このドアホ!」
 チャルコが言うには、今日はルイトの友達、シオンが旅に出る日だ。
 カントー地方出身の彼女だが、何故かカントーに来ていた、シンオウポケモンであるナエトルをパートナーとして、旅をするそうだ。
 そのシオンと、ルイトは偶然知り合った。
 シオンはポケモンの言葉がわかるとか、そんな能力は一切無い。普通な人間だ。
 しかし、彼女が持っていた木の実が、二人(一人と一匹)をつなげたのだ。
 それから二人は、例のナエトルも一緒に、よく遊んでいた。
 元々シオンは、あまりポケモンを触りたがる子ではなかったが、二匹を通じて、ポケモンに慣れてきたようだった。だからこそ、今回旅が出来たというものだ。
 ―言い忘れていたが、ルイトもチャルコも、ポケモンである。
 ルイトはイーブイ、チャルコはブラッキーだ。
 二匹も、どこかから9番道路辺りまで移住してきたらしい。その頃ルイトはタマゴだったので、自分の本当の故郷のことは知らないし、知る気もない。チャルコも、教える気はないそうだ。
「まあ、とにかくさっさと見送りしてやんなよ。あの子、イッシュ地方に行くんだってさ。当分会えないよ」
「…そっか〜。さみしいなぁ。かくなる上は、あたしもどこか旅に…」
「い・い・か・ら!!」
 チャルコに遮られた。
「じゃ、いってきまーす」
「いってら〜」
 元気よくハナダシティへ向かうルイト。
 今後、彼女の人生(ポケ生)を変えるようなことは、果たして起こるのだろうか。
「ま、何でもいいけどね」